侵入と、別行動
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神殿
近衛・亀姫組――
ヒュッ…
足音も立てぬままに駆け、花台らしき石柱の影に潜り込む。
「亀姫様、大丈夫ですか?」
「何がですの?」
自分のすぐ後ろに回り、低い位置に身を潜ませている亀姫
華奢そうに見える彼女だが、息の上がっている様子は見受けられない。
「自分は脚には自信があったのですが…亀姫様も、相当に脚がお早いのですね」
「ああ、それでしたら…」
亀姫はおもむろに着物の袂に手をかけ、チラりとめくって見せるような仕草をした。
しなだれるように見上げてくる亀姫の瞳を見て、近衛は不意に気付く。
(……上半身が…傾いている? 2足歩行の動物としては、ありえない体勢だ)
「……うふ。ナカをご覧になりたい?」
「以前は、確かに二本の足があったように思いますが。ですが少なくとも、亀の脚……では、なさそうですね」
「確かめてみたくなれば、脱がしてくださいまし。中身に気付いてなお、そんな気になればですけれど」
ころころと笑顔を向ける亀姫に、近衛は苦笑する
後方へ広がった、裾を引きずるような衣装と、その“不自然な膨らみ”。
(あの膨らみ、通常の足ではない。だがまさか人魚、ということもないだろう。おそらく――蛇)
下半身が蛇。
それは恐ろしいのか、あるいは気色悪いのか。そう思って想像してみる。
美しい白い肌を持つ亀姫が、蛇の尾を持つのなら
やはり、艶かしい白蛇のように美しいのかもしれない。
それとも、妖しげな色香の雰囲気そのままに
マムシや毒蛇の迫力を持つのだろうか。
「坊や?」
「っ、すみません。陛下に“気を抜くな”と忠言をもらったばかりなのに…つい考え込んでしまったようです」
「あら、うふふ。仕方のない坊や。安心なさって、陛下には黙っていてさしあげますわ。まさか正体を無くした女に気を取られるなんて、笑い者もいいところですものね」
「そうですね…。ましてや、その正体が白蛇か毒蛇だったならばどれほど魅力的だろうと考えていたなんて…しばらく話の種にされてしまいそうです」
「 」
「? どうなさいました、亀姫様」
「私のほうが恥ずかしくて、とても陛下にお話なんて出来なくなりましたわ…」
「……?」
「気になさらなくて結構ですわ。ともかく行きましょう。もっと奥に行けば、何か―― あら?」




