天族との戦4
口数の減った3人に、魔王がつまらなさげに声をかける。
「お前たち。過去を騙るのは構わぬが、そう乱してやるな。近衛に足を引っ張られては面倒だ」
「騙る…?」
「祖は四神を討ってなどいない。第一、子孫を残しておきながら“神を討った”とは言えぬだろう。子孫が次代の神を継承すればいい話」
「あ」
「実際は、暴食の祖が四神の一柱“朱雀”を喰らったがゆえに、世界は“崩れた”のだと聞いている。戦禍の正体はそんな程度のものさ」
「喰ら…っ!?」
「うふふ。実質、四神もその在り方を崩されたのですから、討ったといっても過言ではありませんわ」
「その通リ。騙ったつもりはなイ」
「では…当時の魔王陛下は本当に神を食べたのですか」
「さて、な。俺の預かり知る所ではない。真実をしりたければ精霊王にでも訊ねるが良い」
「あの精霊王が答えてくださるとは思えませんけれど」
(……暴食で神を喰らい、世界が変わった……“その程度”の戦争、か)
そんなことで、世界はなくなる。
その戦争に巻き込まれたものたちは、命を落とした者たちは
一体、何を思ったことだろうか。
「っ……焼き鳥の話ヲ、している場合ではないゾ!」
「!」
それぞれに思考が逸れかけてしまっていたその瞬間、
前方からこれまでよりも一際大きな神族が飛び出してきた。
誰よりも早く気付いた獣王が、その巨体に喰らいかかった。
だが、ドカリと大きな鉈でその腹を打たれ、獣王の巨体は無情に跳ね返される。
「獣王!」
即時に亀姫が治癒の術法をかける。
魔王は数発の魔力弾でその鉈を無力化させ、その間を近衛が縫って分け入り…“小さなナイフ”の斬撃で、袈裟切りにした。
「援護をありがとうございました、陛下、獣王様。…ご無事でいらっしゃいますか」
「ガウル…当たり前ダ」
「治癒の途中ですわ。ただでさえ毛むくじゃらでやりにくいのですから、あまり動かないでくださいまし」
「グルル……」
「……ふむ。やけに大きいのが出たと思ったが、どうやらこいつで終わりだったようだな」
後方からはまだ戦らしい咆哮なども聞こえてくるが、前からの攻撃は止まった。
前方にあるのは、静寂と大宮殿のみだ。
「ここが…」
「ああ」
「神の、巣だ」




