天族との戦3
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駆けながらも、定期的に亀姫は魔素を放ち続けた。
後続もずいぶんと楽になっている事だろう。
「……神界にあって、それだけの魔素を放てるとは。四神・玄武の血は伊達ではないな」
「お褒めに預かり光栄にございますわ」
「!! 四神…!? 亀姫様は、神族の血をひいておられるのか」
「四神だなんて一族の名に残っているだけの古いお話ですけれど。だけれどその四神を討ったのも、かつての魔王陛下ではありませぬか」
「なっ… 神と魔の戦は、過去にもあったのでございますか!?」
「精霊王の話を聞いていなかったの、坊や。今のこの世界の在り方は、その戦禍によって作りだされたものですわ」
「神と魔が争うのだ。世界のひとつやふたつ、姿かたちを変えるのは仕方あるまい?」
皆、それぞれに神族を斬る手は緩めない。
だけれど、近衛は自分のしている事に畏れを抱かないわけではない。
目の前で、天の使い達が死んでいく。神と魔の戦争が進んでいく。
そうして、このまま進み続ければ、いずれは――
(また、世界が変わる?)
「それにしても、神界の兵も結構な数がいらっしゃいますこと」
「だがあまりに弱イ。兵ではなイのかもナ」
「神界の連中は、元々が戦になど向いていない。文化風習として有り得ぬのだろう」
「あら、じゃあ彼らは一体? まさか寄せ集めたのかしら?」
「くく、流石にそんなことはなかろう。“戦の為の兵”ではなく、“神の為の兵”といった所ではないかと」
「……なるほド。大名行列を気取っていたのは神の方だったカ」
「大名行列? なんのお話ですの?」
「俺達が現在戦っている、敵の姿だ。ありがたすぎてやる気も失せるな」
布陣は崩さぬまま“雑談交じりに”神の者を討っていく。
近衛はその中で、否が応にも実感していた。
世界を変えてしまう戦いを、すごろく遊びのように進めてしまえるのだ。
魔王にとって…いや、魔族にとって
あるいは神にとってもかもしれないが
『世界とは、その程度のものだった』。
それがなによりも、近衛はおそろしかった。
「どうしタ、近衛。苦々しイ顔をしているゾ」
「………いえ。なんでもございません」
「ねえ、坊や。先ほどの話ですけれど、獣王も四神を祖に持つ一族ですのよ」
「獣王様も…?」
「竜王の大婆様も、そうですわ。ねえ、坊やは私達をどう思われますこと?」
「……そうですね…。かつては神族だったといわれると、驚きを隠すことは難しいです」
「勘違いするナ。当時に神と呼ばれたモノであっただけデ、今の神とは違う種ダ」
「それでも、かつての神の末裔がこうして陛下の元にいらっしゃるとは……なかなかに信じがたいお話ではあります」
「うふふ、そうねぇ。私の一族ではありませんが、実際に過去には戦敵として陛下に歯向かった者もあったそうですわ」
「そう、ですよね……。それなのにこうして配下に下り、忠臣となるまでには、一体何があったのでしょうね…」
「……さて。私の存じ上げるところではありませんわ」
「ふン……」
(自らガ、魔王に滅ぼされた一族そのもノのくせニ。時を経テ味方になるのが信じがたいなどト、ぼろを出したも当然ダ)




