天へ3
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神界・低層――
「やはり、あれですか」
「さて。おそらくは、と」
それぞれに駆けて行くその向こう
雲のような丘の上に、宮殿がそびえたっているのが見える。
そこからスロープのような物が伸びているようだが、霧がかっており、トンネル状なのか階段になっているのかはわからない。
そのスロープの一番下を目指して駆けたところ、
そこに荘厳な門が立ちふさがっていた。
「………」
スッと近衛が門に近づく。
様子を伺い、触れてみる。特に不審な様子は見られない
「正門、と言ったところでしょう。何者かの気配はないように思われますが…」
「気配がないと判断したならば、開けるが良い。罠だと思うのならばそれなりに備えろ。指示がなくては動けぬなら、このまま置いていく」
近衛は少し悩み、続けざまにこういった。
「正門であったとして、突然の襲来に大層な罠を仕掛ける暇はなかったはず」
「ほう」
「お下がりください、自分が開けます」
門は、魔王の社殿のものと同じような観音開き。大きさも重さも、ほぼ同等。
近衛はその中心に立って、両の腕で押し開けていく。やはり、反応はない。
「……気をぬくな」
神界の門を腕の広さ分もあけた時だろうか、不意に声を掛けられる。
「・・・っ!」
『――気をぬくな』
言葉を聞くと同時、近衛は反射的に後方へと飛び下がっていた。
フラッシュバックのように突然に迫り来た刀の影を避けたのだ。
近衛の脳裏には、魔王の社殿を開けた瞬間に斬りつけてきたあの刀が見えていた。
――ッ!? ぅぁ…
ギィィグシャァァァァァァン!!!
手を離された門は、奇妙な音と共に勢いよく閉ざされた。
そして――
「……これは」
一本のスピアが、カランコと音を立てて地に落ちた。
目の前の大きすぎる観音開きの戸の間から、例えるならそう、「奇妙な植物の枝」が生えている。
筋を浮かせて歪に曲がった枝先は、強張ったまま僅かに痙攣し、しばらくの後に動きを止めた。
「術法だろうカ。矢の速度デ、遠距離から突っ込んできたようニ見えタ」
「私には、誰かいるようにも、誰か来たようにも見えませんでしたわ」
「自分も、完全に無人と感じておりました…」
「門を開けきったその瞬間の隙を狙ったか。門を開かせ、先陣をその場で討つ。その勢いで流れ込む強襲のつもりだったのやもしれんな」
「こちらの方も、まさか寸前で閉じられてしまうとは思わなかったのでしょう…届きもせず挟まれて。ふふ、おいたわしい事」
「危うくまんまと討たれるところでした。お声がけ、ありがとうございます。魔王陛下 」
「クク。逃げ足と反射神経だけではなく…勘と、物覚えも良いようだ。その賜物とでも思っておけ」
「…いいえ、自分はただ臆病者なだけでございます。陛下の一撃の恐怖が忘れられなかったに過ぎません。ありがとうございます」




