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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第八十九話 Tall's Birthday.①(享の誕生日①)


『はて、どうしたものか?』


明後日、四月十五日は、享の二十二歳の誕生日。

去年は出会う前だったので、お祝いをしていないから初めての誕生日だ。


クリスマスやらバレンタイやらで、うかうかしていて、うっかり何か手作りでと言うことも全く考えていなかった灯。


『何なら喜ぶ?……何でも持ってるし』


今日は日曜日。

また空きコマを使って買い物に行くのは、享にバレる。

というのも、四年生は数時間の講義とゼミ以外、ほとんど空きコマだ。

当然のことながら、享は灯のスケジュールに合わせて行動するので、一人の時間はほぼない。


『あ!そうだ!もしかして……これなら』


思いついた誕生日プレゼントに灯自身もワクワクする思いだった。



享の誕生日の朝。

享自身は、いつもの通りと言った雰囲気で朝食を取りながらコーヒーを飲んでいる。

灯がチラチラ自分のことを見ているのに気づくと


「さっきから何?どうしたの?」

「え?……えーと」


享は最近、灯が感情の起伏が激しいのを懸念していた。"今までの一連の後遺症"なのか?それとも、享がまだ話せない"これからの事"について、身体が感じ取っているのか?


どちらにしても享にとっては不安材料だった為、どうしても、その分、灯の態度に敏感になってしまう。


灯の横に移動すると跪いて、顔を見ながら話す。


「何かあるなら話して」

「あの……Tall」

「ん?」

「私に、今日一日、Tallの時間を下さい」

「え?何?」

「今日……一日」

「一日でいいの?」


灯は享が笑いながら返すのを見て、苦笑いした。



横須賀線の中で、二人は箱席に隣同士で座って車窓から外を眺めている。


「平日はさすがに空いてるんだね」

「出勤ラッシュ過ぎならね」

「戸塚駅からバスで移動だからね」

「それにしても懐かしいな。小学生以来だ。誘ってくれて有難う。でも、灯の自習休講はちょっとだけどね」

「Tallのお誕生日だから……どうしても何か一緒にしたかったんだもん」

「有難う、灯」


戸塚駅を降りてバスに乗り換える。


行く先は……。


「横浜ドリームランド!本当懐かしいよね!あの時は家族皆んなで来たんだもんね」

「兵隊さんも変わらないんだね」

「待っててチケット買ってくるから、今日は全部私が払うんだからね!そこにいて!」


灯は走ってチケット売り場に行ってしまった。

その後ろ姿を見ながら、享は青空を見上げながら、

「いいお天気になって良かった……」

と呟いた。



「お誕生日おめでとう!」

「有難う」


灯から乗り物ごとに決まっているA券からC券の入園チケットとのセットの乗り物券と蛇腹折りの紙の園内地図を手渡された享。


「最初に何に乗ろうか?」

享が灯に尋ねた。


「何、言ってんの?Tallの乗りたいもの優先!何に乗りたい?」

「そうだなぁ……じゃ、あれ」

「あれか……分かった!行こう!」


"ミュージックエキスプレス"

"ラブスクエア"エリアに新設された、円周上の波打つコースを高速回転するアトラクション。

アップテンポなBGMとともに猛スピードで回転し、途中で"逆回転"もするスリリングな乗り物だ。


列に並んでいる最中、享が笑いながら

「あかりん、顔色悪いけど本当に大丈夫?」


『Tallが、あかりんと呼ぶ時は私のことを舐めてる時だ!負けるか!』


「大丈夫に決まってるじゃん!大人だし!」


家族で来た時は、オクトパス※1 にすら灯だけ気分が悪くなったグルグル系。

はてさて、どうなることやら……。


「……」

ベンチに座る灯。

享が飲み物を買って来て差し出す。

「灯、ごめん。不得意だって分かってたのに」

「いや!今日はTallに付き合うって決めたんだから!大丈夫!」

受け取った飲み物をちびちび飲みながら、元気に振る舞う灯。


その隣に座った享は灯の肩を抱き寄せると


「こうして二人で、また、ここに来られただけで嬉しいよ」

「え?」

「家族の思い出の場所にさ……忘れかけてたから」

「……もしかして、思い出したくなかった……?」

「そんなことないよ!楽しかった思い出だもの」

「本当に?」


享は灯のおでこに自分のおでこをくっつけると

「本当に本当にホントです」

と言って笑った。


その後、"大海賊"※2 やら"ジャングル探検船"※3 に乗り、昼ごはんを食べることに。


享は、別々に住んでいるはずの灯のマンションの部屋代は、オーナーと知り合いという事もあってと言い崇からは賃料を受け取っていなかった。

ただ灯は、毎月の食費も含めたお小遣いを貰わない訳には行かず、ただそこからも享は食費を受け取ってはくれず、普段ほとんどお小遣いを使わない。


そこで灯は思いっきり贅沢を考えて、ホテルエンパイアの"回転展望レストラン"で昼食をしようと考えていた。


そこは、 床がゆっくり360度回転するレストラン。


約1時間かけて客席の床がゆっくりと一周する仕掛けになっており、食事をしながら横浜の街並みから遠くの富士山、湘南の海まで見渡すことが出来る構造になっている。


「ちょっと、ここって!」

「いいのいいの!」


享が慌てているのを尻目にエレベーターで二十一階まで上がる。

灯自身もドキドキしながら、レストランに入るも普通に給仕されテーブルに案内されて、ホッとした。


特別感のある洋食ランチコースを選ぶと、灯が勝手に享にはステーキを、灯はハンバーグをメインにオーダーする。

オードブル、スープ、メイン、パン、季節のデザート、コーヒーのフルコースだ。


給仕人(Server)に聞かれてもいないのに、享がリードしないのを変に思われたくなくて、灯の方から

「今日は彼のお誕生日なんです」

と話した。


それを聞いた給仕人(Server)はニコリと笑みを浮かべながら、灯と享、それぞれに

「それはそれは、その様な大事なお席に当店をお選び頂き有難うございます。お誕生日おめでとうございます」

そう言ってお辞儀をして立ち去った。


「灯、嬉しいけど、気を遣い過ぎじゃない?大丈夫なの?」

「だってTallだって、私に免許と"相棒"のプレゼントしてくれたり、このネックレスやブレスレット……比べたら、全然だよ」

「それは、それだから。それにしてもさ……」

「いいから、景色も楽しもうよ♪富士山も見えるかもだし!お料理もきっと美味しいよ」


少し背伸びをしたデートの演出。

下で遊園地の喧騒やシャトルループの悲鳴が聞こえる中、白いテーブルクロスが敷かれた静かな店内でナイフとフォークを使って食事をする。


「美味しかった?」

「うん、大満足」

「良かった……」


食後のデザートは享がお誕生日と言う事で、苺のタルトの他にお店の厚意でアイスクリームがプレゼントされ、灯の方が喜んだ。


コーヒーを飲みながら,園内マップを見て、次に何に乗るかを一緒に考える。


「A券が余ってるから、二枚使って潜水艦(サブマリン)に乗る?」

「そんな手が使えるの?」

「多分だけどね」





※1 オクトパス 

タコの頭を中心に、放射状に伸びた大きな8本の足の先にゴンドラ(座席)がついていて、全体がグルグル回りながら、タコの足が上下にくねくね動き、さらに座席自体も遠心力でクルクル回転するという、意外と目が回るスリリングな乗り物。


※2ジャングル探検船

船長役のスタッフが軽快なトークでガイドしながら、アフリカ風のジャングルや動くワニ・野獣たちが待つ水路を巡るディズニーの「ジャングルクルーズ」をモチーフにしたボートアトラクション。


※3 大海賊( スリルロマン大海賊)

1971年にオープンした、全長い約270mの水路を進むウォーターライド(ライドアトラクション)。

船に乗って暗闇の中を進み、14世紀のカリブ海を舞台にした海賊たちの世界を探検する仕掛け。

ディズニーランドの「カリブの海賊」に先駆けて存在。

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オクトパス懐かしいです。西武遊園地で乗ったなぁ
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