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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第六話 Serendipity(不思議なご縁)


「お母さん」


灯と呼んだのは、家にいないことを心配して思い当たるところを探し回って、ここに辿り着いた千紗子だった。


「あなたは?」


"チビ"は聞かれて


「横溝享くんの同級生です。あかりさんが一人でこんなところで何してるのか気になって声をかけたところでした」


「享くんの?あらそうだったの。心配してくれて有難う。でも、もう大丈夫だから、あなたもお家に帰って」

「え?」

「何?灯、お礼を言って」

「あ……有難う。心配してくれて」


「いや、もし享から連絡あったら何とかして、お前に伝わるようにするから」

「え?本当?」

「あぁ、じゃ。風邪引くなよ」

「有難う!!じゃまた」


"チビ"は千紗子に軽く会釈すると去って行った。



===



「あの日、待っててくれたんだってね」


享が灯探しの時、自分の友人達にも声をかけた際、"チビ"から、実はそのクリスマスの日の話を聞いていた。


そして"チビ"に謝られた。


「ごめんな。連絡先を聞くのを忘れてよ。親の離婚って事で何だか誰にも言えなかったんだか、引越し先も分からなくてさ」



===



享が察して呟いた。


「誰ももう住んでない(うち)に手紙を送ったから戻って来たんだね」


「多分そう。親の離婚って怖いね!お互い直接連絡取り合わないで、住所も連絡先も知らないんだよ。

あの時も、すごいバタバタ引っ越すことになっちゃって、クリスマスが来る度に私が落ち着かないのに気づいたお母さんから中二になってから、享くんが帰って来るってまさか信じてるって思わなくてって謝られたんだけど……引っ越しの時、Tallの達志(パパ)から渡されてたマサチューセッツとニューヨークの連絡先のメモ無くしたんだって……これは、こっちのせいだよね。だから、私も連絡出来なくて……ごめんなさい」


「そんなに待ってくれたんだね」


「え!……いやいや、本当はとっくに諦めてたって!嫌だなぁ、そんな乙女じゃないよ!それに、離婚自体はお母さんにとっては良かったんだもん」


そんなすれ違いがあったとは、享も思いつきもしないことだった。



===



そのうち灯は家での留守番に飽きて来た。


小学校6年生は子供だが、少し大人にも思われたい時期。


そして灯は享との約束であることをしていた為、歳よりも大きい子に見られるのをいいことに、たまに遠くまで一人で探検に出かけていた。


そんなある日、意外にも近所に小さいながらも由緒正しい神社があることに気づいた。


毎日、そこにある石のベンチに腰掛けて学校帰りに図書室で借りた本を読むのが日課になっていたが、やがて夏休みを迎え、アパートは西陽が入り暑すぎるので、涼しくなるまではと近所の母の実家に厄介になることになっていた。


庭にビニールプールを作って貰い、おじいちゃんの大きな雨傘をパラソル代わりにすれば、もうそこは灯にとっては一人海水浴場。


「うちで一緒に住めば、灯の面倒も見られるのに」

ことあるごとにおばあちゃんは灯に言うが、それが多分千紗子には重いのだろう。


おばあちゃんが切ってくれた三角スイカを手に灯は大きな声で言う。

「はあ〜極楽極楽♪」


「灯、お前たまに婆さんみたいなこと言うなぁ」

おじいちゃんに笑われたものだった。


灯の頭の中にはそんな時

『Tallはどうしてるのかな?スイカってマサなんちゃらでも食べられるのかな?』


享のことばかり思い浮かんだ、が、もう会えないと思い始めていた。


そして季節は移り変わり秋。

また学校帰りの神社での読書を再開した。


そんなある日、その神社には立派な銀杏(いちょう)の木が参道に沿うように何本もあり、その落ち葉を神主さんが一人で掃き清めようとしていて、とても大変そうだった。


見るに見かねて灯は神主さんに声を掛けた。


「あのう、もし良かったらお手伝いさせて下さい」


「え?あ、いつもここで本を読んでいるお嬢さんだね。お宮にお参りもしてくれて、いつも感心していたんだ……え?今何て?」


『とぼけた人だなぁ』と思いながらも灯はもう一度言い直す。


「いつもここで過ごさせて頂いているお礼にお掃除のお手伝いをさせて下さい」


神主は驚いた様に

「え!?本当に!?」


「はい、竹箒(たけぼうき)はどこにありますか?取って来ます」


「あぁ、えーと……まずはお礼だね。有難う!助かるよ!じゃ、これを使って」

と灯に持っていた竹箒を渡すと自分の箒を取りに走って行った。


そして小一時間くらい経った頃、

「お嬢さん。暗くなって来たし、今日はこのくらいしておくよ」

神主に声を掛けられた。


気づくと狛犬(こまいぬ)の横の大きな灯籠(とうろう)に灯りが燈っている。


「じゃあ、また明日も来ますね」


灯が言うと神主は心配そうに

「この季節はいつもこんななんだ。読書の邪魔をして悪いから、しばらくは来ない方が」


「いいえ!いつもここで本を読ませて頂いているのに、そんな見て見ぬふりは出来ませんから」


「でもさ」

「また明日も参ります。箒どこに仕舞いますか?」


にっこりした灯に神主も思わず

「じゃ、また明日も宜しくね。箒は私が片付けるから、気をつけてお帰りよ」

灯から箒を受け取った。


その日、千紗子に灯は、その神主との話をした。


「へぇ、いい事したね。神様はそういうことをするいい子に、褒美くれるかもね」

「えへへ」


でも、そのご褒美は母千紗子が貰うことになった。


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