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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第五話 An unexpected reunion.(予期せぬ再会)

第四話から引き続きご覧頂いてる皆様

新たにご覧頂き始めた皆様


本当にたくさんの物語の中から探し当てて下さって有難うございます!


午前0時の投稿は、優月菜の夜更かし好きなことをご存知の皆様が待ってたよー?と仰って下さってるかな?と思い初めてみましたが、そうでもないような……


ここで平日は朝6時!土日だけ真夜中投稿させて頂こうかと!思います。


投稿時間が変わるのってどうなの?

などご意見ありましたから、是非ご感想に入れて頂けると助かります。


灯と享のじれじれの応援これからも宜しくお願いします!


と、お詫びの意味で本日は、これから第五話お届け致しますので、お楽しみください♪


優月菜



「待ってたのに……クリスマス帰って来なかった」


灯りがポツリと呟いた。

指切りの約束の一つ目が果たされなかったのだ。


「あれは……あの年、おじいちゃんが亡くなって……手紙書いたんだ。行かれなくなったって……でもその手紙は戻って来た」


「そっか、あの時かぁ!じゃ、ムリだわ」

 


===



灯が小学五年の冬、夜中にリビングで両親が言い争いをしているのに気づき階段を降りて行くと扉の間から二人の話をぼんやり聞いていた。


母の千紗子が

「もう一度、家も売って一からやり直しましょうよ。今はのままじゃ借金だけが増えて……」

と言った時、父の孝一が千紗子を突き飛ばし彼女が床に崩れ落ちた。


「お前に何がわかる!!」

孝一は手を振りあげた。


その時、灯は咄嗟に千紗子の前に飛び出していた。

「あっ!!」

本当に一瞬だった。


孝一の本気の一打に灯の身体は吹っ飛んでリビングテーブルの角に頭がぶつかった。


灯は頭の右後ろ横五センチほどが切れ、救急車を呼ぶ事態になったのだ。

幸い、脳に影響はなかったが大事を取って、その日は入院となった。


灯が目を覚ました時、ベッドサイドで千紗子が彼女の手を握りしめながら泣いていた。


『叩かれたのが私でもお母さんを泣かしちゃった』


灯は詳しい事情を分かっていなかったが、孝一の経営する会社の業績がかんばしくなく、このところ、それが原因で夜遅く彼女の両親が言い争いをしている事、また、たまに千紗子が子供達に隠れて涙している事に気づいていた。


「灯?……良かった目が覚めて……」


千紗子は元々は外科の入院病棟で看護師をしていた経験があり、孝一よりは落ち着いて対処は出来たが、目を覚まさなかったら、どうしたら?と考えては打ち消すを繰り返していた普通の母親と変わらない。


孝一とは、彼がスキーで脚を骨折して千紗子の勤める病院に入院した時に出会い、彼の猛烈な求愛(アタック)により、結婚を機に仕事を辞め専業主婦になったのだ。


「目が覚めて良かった。ごめんな、灯」

泣きながら孝一に謝られたが、灯は一言も喋らなかった。


その後、すぐに両親は離婚する事になり、汐恩は父が、灯は母に引き取られる事になった。


その年のクリスマス一ヶ月前の出来事だった。


千紗子は灯と一緒に、彼女の実家近くのアパートに部屋を借り、元いた病院に看護師として復職がすぐに決まった。


外来診察対応ではあるものの、急な救急対応を頼まれて帰りが遅くなる事もあり、灯は通常なら午後六時半頃戻る母を待ってテレビを見ながら宿題をやるという毎日を送っていたが、その日は違った。


享が渡航してから一年後の十二月二十五日。


灯は終業式を終え、一人お昼を食べ終わると、電車とバスを乗り継いで一時間ほどかかる元住んでいた家の前に佇んでいた。


どうやらまだ元自宅は空き家のようだ。


『Tall、来るかな?……米国(アメリカ)って遠いから着くのは夜なのかな?』


久しぶりに会うのを夢見て考えつくだけのオシャレをした為、オーバーを着て、毛糸のマフラーを巻いて、冬物とは言えワンピースではタイツをはいて毛糸のパンツをはいていても皮のパッチン靴※1 では、足元から冷気がジワジワと迫り来る。


小一時間待ったところで夕焼けから一気に周りの風景が夜に変わった。


その時、

「あれ?お前、享の腰巾着※2 じゃね?」

制服姿の中学生に声を掛けられた。


「あ!あの時の……チビ」


灯が小学校一年生の頃、三年生の享に絡んで逆に吊り上げられた"チビ"だった。

が、今は灯を見下ろしている。


「こんなとこで何してんの?」

「……」

「まさか享のこと待ってんの?」

「……」

「あの時は悪かったよ。享があんまり出来が良すぎて、やっかんで。でもあんな事してたの俺達だけじゃないぜ」

「え?他にもいたの?」


"チビ"は笑うと

「ようやく話す気になったか?享を待ってんのか?」

「……享が去年米国(アメリカ)に行く前に今年のクリスマスには帰って来るって約束したから……もううちは引越して、違うところに住んでるから享が来ても分からないと思って」

「享から今住んでるところ聞いてないのか?」

「うん。私は知らない、もしかしたらお母さんは知ってるかもだけど……」

「で、ここで、いつから待ってんの?」

「もう二時間くらいかも……」

「え!?そんなにかよ」


さすがに"チビ"は考える。


『享はこの子の事、特別扱いしてたよな……じゃ、何かあって連絡も出来ないんじゃないか?』


"チビ"は意外にも回転の速い奴だった。

このままじゃ、灯が寒さで凍えるか?風邪をひくのはもう目に見えている。


「おい、あかり」

「何で私の名前しってんの?」

「"あの時"享に"あかりに手を出したら許さない"って耳打ちされたんだよ!おっかねぇ声で」

「それで……チョッカイ出さなくなったんだ」

「まあ、そうだ。てか、お前もう今日は帰れ」


北風が吹きつけて灯も"チビ"も身震いをする。


「何で?!Tallが来たら、どうするの?!」

「俺が代わりにいてやるから、もし来たら、お前が待ってたって伝えてやる。電話番号教えろ」

「うちは……今、大家さんにお電話借りてるから大人の大事なご用以外には使えないの」

「え?そうなのか」


灯が悲しそうな顔をするのを見て、さすがに"チビ"も辛くなったものの、このまま見過ごせなかった。


「じゃ、とにかくまた明日出直せよ。もし享がこの後、来たら分かるように、ここ空家みたいだし誰も見ないだろうから、この石の下にメモ挟んどくから」

閉じられた門扉の中にある大きめの石を指差した。


「え?でも悪いよ。これからが寒くなるのに、そんな事して貰うの」

「お前が風邪でもひく方が享は心配すると思うぞ」


"チビ"に言われても灯は帰りたくなかった。

が、


「灯!」


遠くから名前を呼ぶ声がした。




※1 パッチン靴

今で言うワンストラップシューズのこと。

※2 腰巾着

腰につけた巾着が、いつも実力者にべったり張り付いている人間の姿にそっくりだったことから、比喩として使われるも、"チビ"は「体の一部のようにぴったり離れない様子」のつもりで言ったと思われる。


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