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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第四話 Pinky swear(指切りげんまん)

引き続きご覧頂いてる方・初めてご覧頂いてる方


お手に取って頂き有難うございます!


小学生がまだまだ本当に子供らしく、まだまだ氾濫する情報にとらわれず公園や空き地、野原が遊び場だった頃のお話です。


そんな頃、お互いが幼馴染であり、兄妹の様でもあり、純粋に小さな恋人同士でもあった頃、それをまた周囲が温かく見守っていられた様な時代。


灯と享のこれからの成り行きを見守って下さると嬉しいです♪


優月菜



火葬場で煙突から出る白い煙を大人達がいる建物の外から灯と享の二人は手を繋いだまま見上げていた。


「Tall」

灯は声はかけたものの次の言葉が出てこなかった。

享が泣いていたからだ。

灯も一緒に泣く。


「僕、ママとケンカした……」

「ママと?……何で?あんなに優しいメグママとケンカって?どうしたの?」

「パパが今度ニューヨークに転勤する事になって、ママが今度のクリスマスはマサチューセッツのおじいちゃんとおばあちゃんと過ごせるわねって」

「え?Tall、ニューヨークに行っちゃうの?」

「多分、おじいちゃんち。パパはお仕事忙しいから」

「じゃ、マサなんちゃらに行っちゃうの?」


享は来ていたブレザーの腕で涙を拭うと、

「僕はあかりんと一緒にクリスマスはゲームして遊ぶ約束したから行きたくないってママに言ったら、ママは"灯は本当の妹じゃないから、いつまでも一緒にはいられないのよ"って」

涙を堪えて一生懸命に話す。


灯はそれを聞いて呟いた。

「クリスマス遊べないんだ……」


「クリスマスだけじゃないよ。今度はパパはニューヨークの支社長になるから、何年も何年も帰れないんだって、なのにママだけ嬉しそうだったから……」


享は顔をぐしゃぐしゃにして泣きながら

「ママのバカ!って言って、その日の夜、おやすみなさいのキスもしないで僕は自分の部屋に閉じこもって寝ちゃったんだ」


享の泣き顔が辛くて、灯は一緒に泣きながら何も言えない。


「朝、目を覚ましたらパパが慌てて僕を起こして救急車に乗せられるママと一緒に病院に行った……でももうママは目を覚まさなかった。きっとママ怒ってるよね……」


「Tall、メグママはTallのこと大大大好きだって、いつも言ってた!Tallがママのこと大好きなのと同じくらいにメグママものおじいちゃんやおばあちゃんのこと大好きだったのに離れてた分、早く会いたかったから、そんな風に言っちゃっただけだよ」


煙突の煙が、晴れている空の雲と混じり合って行く。


「Tallのこと怒ったりしてないよ。ほら、あれ見て」


灯は青い空とその雲を指差しながら


「あそこからメグママは、いつもTallのこと見てる。笑いながら、いつもいつも、きっと見てる」

「本当?ママ怒ってない?」


「怒ってる訳ないよ。でもきっと心配はしてると思うTallとのお話が途中だったこと」


「そうかな?」

「そうだよ!心配させない様にしなきゃだよ!」

「うん、分かった」


享は、小学校六年生で勉強は出来たが、少し考え方が幼かった。


「僕、米国(アメリカ)行きたくないんだ。あかりんと一緒にいたい」


「Tall。私だってTallと一緒にいたいよ」

「ずっとずっと一緒にいたいんだ!」


「あかりん、僕のママになるには僕のパパと結婚しないとなれないけど……僕のお嫁さんになってくれない?」

「え?お嫁さんになったらTallと一緒にいられる?」


「うん、ずっとずっと!でも大人にならないとダメなんだ」

「大人にならないとお嫁さんにはなれないんだ」

「そうなんだって……昨日パパに聞いた」

「それまで……ガマンなの?」

「う、うん」


二人は手をギュッと繋ぎ直して、今度は声をあげてワンワン泣いた。


クリスマス休暇を使ってマサチューセッツのメグの両親に享を預けることや、転校などの手続きもある為、クリスマスより少し前に享は父親と一緒に旅立つことになった。


その前の日。


灯と享はおでことおでこをくっつけて見つめ合いながら約束を交わす。

これは二人の約束の前の儀式の様なものだった。


「必ず来年のクリスマスは、あかりんと一緒に過ごす事をこのケーキに誓います」

「ホントにホントですね?」

「もちろん本当に本当にホントです」


ちょっと早いクリスマス会を灯の母が開いてくれた。

クリスマスケーキに一本だけローソクを立てて、今、享が灯に来年のクリスマスは日本に帰って来ると話したところだった。


「クリスマスケーキって、何でこの固いクリーム※1 なのかなぁ?」

「んー?分かんないけど、あかりんは黄色いクリーム※2 の方が好きだもんね!大人になったら、黄色いクリームのケーキを僕が作ってお腹いっぱい食べさせてあげるからね!」


灯と享の二人はおでことおでこをつけたまま、嬉しそうに笑い合う。


そんな二人の様子をみながら、灯の兄、中学生の汐恩が言う。

「お前ら、いつまでそんなノーテンキなの?ニューヨークからの飛行機代とか考えたことあんのかよ?」

「こら、汐恩。余計なこと言わないの」

母親に叱られて汐恩は首をすくめた。


そして、享と灯はケーキのローソクの前で指切りをかわす。


一言小声で享が

「あかりんは僕のお嫁さんになぁる」

と言った後、二人は大きな声で続けた。


「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!

指切った!」




※1 バタークリームのこと。当時はバタークリームのケーキが主流だった。

※2 カスタードクリームのこと。


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