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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第五十九話 I've come down with a cold. (風邪こじらせちゃった)


「ゴホッゴホッ」


翌日から享は完全に風邪をひき熱まで出してしまった。


「灯、大丈夫だから……移したくないし、もう帰って」

「ダメ!熱があるうちは帰らない!私は風邪ひかないから」

「病院行って薬も貰ったし大丈夫だから」

「熱が下がったら帰る……今は寝るのが一番だから、少し眠って」

「うん……分かった」

「いい子」


灯はそう言って笑うと享のおでこのタオルを取り替えて、洗面器の水を替える為にベッドルームから出て行った。


享は熱でボンヤリしているが、薬が効いて来たのか眠くなってきている。

こんな風邪をこじらせたのは初めてだ。

それでも灯がそばで甲斐甲斐しく看病をしてくれる姿を見て、具合が悪いのも悪くないなぁと思う自分のことを笑う。

そして眠りについた。


その頃、大学では王子様(プリンス)お姫様(プリンセス)の姿が見えないことを心配する声もあった。


それと同時にどこ吹く風で花梨と李人の急接近の噂が流れていた。


校門から入った並木道。


「ねぇ、李人。今日のお昼どうする?」

花梨は李人の腕に自分の腕を絡ませようとする。

「花梨さん、校内ではこれはしない約束ですよ」

「あ、ごめんなさい!花梨、李人しか目に入らなくて……」

「本当に花梨さんって可愛い人ですね」

李人が微笑むと花梨は頬を赤らめて俯く。


そこをたまたま美玲とその取り巻きが通りかかった。


「あらあら花梨さんったら、あんなに横溝くんにお熱をあげていたのに、お心変わりの早いこと」

「あんなトウヘンボク!もうどーでもいいの!ね、李人」


李人は答えることはしなかったが、にこりと笑う。


美玲はやれやれと言う風に苦笑いしながら言う。

「まあまあ、それはそれは……花梨さんが宜しければ良いのですけど」


「え?何よ!何か文句あるの?」

少し焦った様に言い返す花梨に、やれやれと言った風な美玲。


「いいえ、いいんですのよ。では失礼、ご機嫌よう」


花梨はちょっと不機嫌そうに爪を噛みながら

「いつも花梨のことバカにして……ヤナ女!」

と,呟くと李人が言った。


「そんな言い方、花梨さんには似合いませんよ、

それより、週末の約束の"七不思議"忘れないで下さいね」

「分かってるわよぉ♪李人!私だって楽しみにしてるんだから任せて!」

「はい、花梨さん」

李人はにっこりと笑った。



一方、美玲は取り巻きの中から、呼び出して同行していた福ちゃんに声を掛けた。


「あの二人がお付き合いを始めるとは思わなかったけれど、これで灯ちゃんも一安心ですわね!」


福ちゃんも安心した様に答えた。

「そうですね!」


「でも、そう言えば、今日、そのお二人の事お見かけしない様な気がするのですが?」

「あ、横溝先輩がお風邪を召されたそうで、灯ちゃんが看病しているみたいです」


「……あら!それは……是非、覗いてみてみたいですわね。さぞかし、甘い光景が……あぁ、残念です」


美玲は呟いた。




「ん……」

昼過ぎ、享が目を覚ました時、おでこのタオルは冷たいが灯の姿が見えない。

起きあがろうとした時、目に入ったのはベッドの脇にもたれかかって寝ている灯の姿だった。


『夕べからずっと寝ないで氷枕替えてくれたり、タオル取り替えてくれたりしてたもんな……』


享はもう一度身を横たえる。

寝かせておきたい気持ちで、灯に触れたい気持ちを抑えるも、次の瞬間、咳が出てしまった。


「ん?Tall、大丈夫?」

「ご、ごめん、起こしちゃった」

「ごめん、私も寝ちゃってた……お腹空いてない?今朝もホットミルクしか飲んでないし……」

「言われてみれば……咳は出ちゃったけど、だるさはなくなって……お腹も空いてる気がする」


灯が嬉しそうに

「じゃ、玉子粥、仕上げてくる!そうだ、その間に汗いっぱいかいてたからパジャマ着替えてね」


ベッドルームから出て行こうとした時、享が声をかけた。


「有難う、あかりん。側にいてくれて……」


心なしか少し赤い顔をしている享に灯は駆け寄り

おでこに手を当て

「まだ熱ある?顔赤いけど?」

そう聞きながら、自分のおでこをくっつけた。


お互いの目と目が合う。


「あ、ごめん!」


灯が思わず身を引いた瞬間、享が灯の背中に手を回した。

享の胸の上に引き寄せられた灯の耳には享の速い鼓動が聞こえる。


「聞こえる?」

「……」

「今、ものすごくドキドキしてる」


『私もだよ……何、これ?どうなってんの?すごくドキドキしてる』

灯は自分が自分ではない様に感じていた。


「灯」


声を掛けられて、享の方を見る。


だが、当の享は灯を抱き寄せ様にも

『ダメだ……何だか力が出ない……』

だった。


その時、灯の方から言葉が出る。


「風邪移す?」

「え?」

「他の人に移すと治りが早いって」

「……?」


灯は享の唇に、軽く触れる様なキスをしたかと思ったら、慌てて起き上がるとドアを開け

「早く着替えてね!」

と言って出て行ってしまった。


後に残された享。


「え?えっ?……」


ゆるゆると起き上がると、灯に言われた通りに着替えを取りに廊下に出た。

享の部屋のベッドルームは二つドアがあり、一つはリビングダイニングに繋がるもの、もう一つは廊下に出られ、トイレやバスルームに行きやすい造りになっていた。

クローゼットの中からスウェットの上下と、下着を出すと、またベッドルームに戻る。


『灯からキスされた、灯からキスして来た、灯とキスした、灯にキスされた、灯が僕にキスした』グルグル思いを巡らせながらも、高熱を出した後で力が入らずフラフラしながら着替える享。


ちょうどズボンを履き終わり、上のスウェットと下着を一緒に脱いだところでリビング側のドアが開いて、灯が玉子粥をトレーに乗せて戻って来た。


「きゃっ!!何で裸!」


そのまま、またドアは閉じられた。


「あ、灯」


ドアの外で灯は思う。

『さっき思わずキスしちゃって……今度は上半身だけど裸見ちゃって……でも、モデルさんみたいにカッコ良かった……うわー何、考えてんの?ワタシ!!』


灯の脳内は目まぐるしく奔走していた。


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