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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第五十八話 Planetarium(プラネタリウム)


「余計なお世話かもしれないんですが……」


鳥居のあたりまで来た時に享が汐恩に話し出す。


「ん?なんの話だ?」

「来週の日曜日、灯さんと一緒にサッちゃんに会うんです」

「……!!?……えっ!!何で!!?」


「サッちゃん……いえ、幸子さんは僕と同じ学年で年上でしたけど灯さんの数少ない友達の一人で、やはり当時は灯さんの行方が分からず心配してくれていて……灯さんにその話を最近になって話したら、お互い会いたいと言うことになりまして……汐恩さんはどうかなと」


「俺がどうかな?って、何がだよっ」


心なしか新宿のNo.1ホストの顔が赤くなっている様に見える。


「高校時代、お二人はお付き合いしていたお話聞かせて頂きました」

「たまたま同じ学校に進学して出会っちゃったら、何だかそんな事になって……」

「でも初デートでの帰りに、僕と反対な事やらかしちゃったんですよね?」


「そんなことまで話したのか?幸子は!」

「あ、いえ、その時ことは流れと言いますか……幸子さんは後悔していると」

「え?」

「いきなり帰り際にキスされて、思いっきりほっぺた叩いちゃったけど、本当は嬉しかったんだそうです」

「何だって!!俺はあの後、相当、落ち込んで……あいつも俺を避けてるし、学年も違ったから話もしないまま卒業しちまったのに」


「本当は謝りたくて機会を伺っていたらしいんですが、幸子さんも汐恩さんに避けられてると思ってたみたいです」

「嘘だろ……」

「もしかして、まだ幸子さんのこと……」


汐恩は更に顔を赤ながらも真面目な顔でこう言った。


「俺は今や新宿のホストだぜ。そんな男は、あんなお嬢様とは住む世界が違うんだからよ」

「汐恩さんが新宿にいるって教えてくれたの、実は幸子さんなんですよ」

「え!」


「高校を卒業してからも汐恩さんがどうしてるか気になって、人伝(ひとづ)てに聞いたりしてたそうです」

「幸子が俺のことをか?」

「はい」

「でも、それは、ほら、何だ。謝りたくてとかの後悔みたいな、そんな思い出話の続きみたいなもんだろ?」


「それが……僕が灯さんのことを忘れられなくて探していることに一番共感してくれたのが幸子さんで、同じ日本の新宿にいて、お店の前まで行ったことが何回もあるのに入れなかったって話してくれました」

「幸子がか?」

「はい」

「マジか……」


「当時、幸子さんは星座が好きで星占いもお好きだったとか。ご両親には反対されたそうですが、大学もそれを勉強したいために心理学科に進まれたそうです」

「小難しいもん選びやがって……俺らは星座占いでは相性抜群だって、いつも言ってたけどな」


「最初で最後のデートになったプラネタリウムが忘れられないそうです」

「え?」

「で、今度の日曜日、横浜の紅葉坂のプラネタリウムで午前十時に待ち合わせしてます」


汐恩は一瞬ぴくりとし一言呟いた。

「プラネタリウム」

「幸子さんに会いませんか?」

「今更、どの面下げて会えっての?」

「さっき僕には"己の気持ちを偽るな"って仰いましたよね」


享が楽しそうに汐恩にやり返した。


汐恩を見送って、パーティーの場に戻ると、琢磨の手作りのプレゼントと思われる金色の折り紙で作られた冠をつけた灯が楽しそうに笑っていた。


享はその姿を見て、嬉しくて胸が熱くなった。




日曜日、午前十時ちょっと前の紅葉坂 神奈川県立青少年センター前。

この中にプラネタリウムはある。


一人の清楚な雰囲気の女性が人待ちしている。

田中幸子だった。


そこに現れたのは、灯と享。

灯が幸子に駆け寄ると

「サッちゃん!」

「灯ちゃん!」

手と手を取り合って元気そうで良かった、今どうしているの?享くんと会えて良かったね、などと興奮気味に言い合う。


享だけは少し離れた場所から、そんな二人の様子を見守りながら、辺りを見まわして人待ち顔でいた。


「あ」

享は思わず嬉しそうに笑うと

「汐恩さん!ここです!」

手を振りながら汐恩に声を掛けた。


汐恩は一瞬、幸子と目が合い慌てて享に駆け寄ると

「おい、バカ!でかい声出すなって」

「だって来て下さって嬉しかったから」

「何言ってんだ、子供か!」

「己の気持ちを偽るな!ですもんね」

「あー、お前うるさい!」


灯が幸子の手を引いて、享と汐恩のところにやって来た。

幸子の顔は真っ赤で、灯が握っている手は心なしか震えている様に見える。


「サッちゃん、話したいことあるんだよね?」


享が幸子に声を掛けた時、灯は幸子を享は汐恩の背中を優しく押して二人の距離を近づけた。


二人がお互いの顔を見られずに沈黙がしばらく続いている間に享と灯は気づかれない様に、その場を離れた。




紅葉坂を下りながら享が灯に話しかける。

「お節介だったかな?」

「いつものことでしょ?」

「え?そう?」

「Tallは優しいから、気になることがあるとほっとけないんだもん」


「ん、でも、汐恩さん達は一度話した方がいいと思って」

「そうだよね、私もTallから話聞いた時、そうは思ったから協力する事にしたし、これはいい事した気がする」

「だよね!さすが、あかりん!よく分かってる」


その後、汐恩と幸子が仲良くプラネタリウムを楽しんだことを二人は知らない。


また灯と享が中華街で肉まんを頬張ったり、山下公園のベンチで肩を寄せ合いながら海を眺めたことを汐恩達も知らない。


「はっ、ハックション!」続けて四回。

「Tall、風邪ひいた?」

「あ、いや,ちょっとムズッとしただけ」


灯が享の身体に抱きつく。

「あかりん」

「一緒にいるとあったかいよね」

享も灯の肩を抱き寄せた。



このクシャミは龍馬の仕返しだったかもしれない。

享は見事にこの後、風邪をひいた。



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