第四十六話 A prince&a princess(王子様とお姫様)
やっぱり土曜日は、朝、早起きしなくていいって感じですか?
でも続きが気になってイライラしちゃうと仰って頂きたいので〜今晩8時に最新話お届け致します!
お楽しみに♪
「へー、来場者票ね!」
王子様&お姫様の投票結果速報板前にたたずむ、灯と達。
昨日、司会者が話した通り、学内の投票は既に学祭前に締め切ったが、当日来場のお客様には当日投票券が配られていた。
その投票券は映画のチケットの様に半券が残る様になっており、投票券と半券には整理番号が記載されている。
"豪華プレゼントが当たる!抽選もお楽しみ下さい!"とし、実行委員としては毎年の"実力"とは思えない大槻花梨の優勝を食い止める気持ちもあったのだろうか、今年は何の派閥も関係しない来場者投票を実施したのだ。
王子様人気は変わらずダントツ享が一番だったが、来場者票は後ほど発表お楽しみに!!と、つけ加え文が書かれていた。
学長の娘である現時点一位の大槻花梨には、学部最大の人数を抱える文学部の票の三分のニ以上が入っているが、その残りと思われる票と他学部の票がほどほど二位の白河美玲入っており、多分法学部一年生票が灯に投票され三位に食い込んでいた。まあ現段階ではやはり花梨が優勝候補だ。
腕のいいカメラマンが実行委員会にはいるらしく、エントリーされた全員の顔写真が隠し撮りされた様で、皆いい表情のものがパネル掲示されていた。
以下四位となっている学生達との差があり過ぎて、王子様とお姫様の上位三名ずつは、大きめなパネルになっている。
「大穴だね、あかりん」
享が灯に声を掛けて、隣を見ると灯が両腕で自分を抱きしめる様にして震えている。
「灯?どうした?」
「こわ……い。こわいよ……Tall」
「やっぱり帰ろう!」
その時、美玲達のグループが通りかかった。
「あら?横溝くん!昨日はお二人ともどうされたの?"その"発表会場に来なかったんですってね」
「そう言う白河さんもおいでにならなかったと聞いてますけど」
「私?何だか面倒になって、福ちゃんとお抹茶を頂きながら、講義室の窓から見ていたの。どうせ花梨さんの一人舞台ですから」
「僕達もそうなんですよ!もうどうせ辞退するし、面倒だから帰ろっかーってね?あかりん」
享に力強く肩を抱かれ、灯は慌てて、それに合わせるように応える。
「うん」
「あらまあ、そうでしたの。私達はお二人がかき消す様にいらっしゃらなくなって心配してしまいましたわ。一言、お帰りになるくらいは仰って欲しかったですわ。ね、福ちゃん」
「あ、はい。灯ちゃん、本当何かあったのかと思って心配しちゃった。でも、帰ったんだったら良かったわ」
灯は美玲と福ちゃん、それぞれに軽くお辞儀をして
「ご心配をおかけして、すみません。ちょっと人酔いもあって……お先に失礼してしまいました」
「あらまあ!そうだったの?もう、大丈夫なの?
そう言えば、灯ちゃん!すごいわね!法学部人気かしら?まあ、私から言わせれば当たり前の結果ですけど」
「あ、有難うございます。でも、これは何かの間違いだと思います!」
「もう、本当に横溝くんと一緒で謙虚なのね。イベントは楽しむ為にあるものなのですから、あなたもご遠慮なくお楽しみなさいな。いいわね?灯ちゃんが出席するなら私も今日は会場に参りますわ。では、また何ほど」
灯はぺこりとお辞儀した。
少し離れたところで美玲と福ちゃんがこんな話をしていたのを二人は知らない。
「見まして?灯りちゃんのトレーナー」
「はいっ!かなり大きめな。トレーナーワンピースみたいでしたよね!」
「横溝くんのかしら?あらあら……ふふふ」
美玲達を見送った後、享は灯の肩を先程より強めに抱き寄せると、彼女の頭に顔を埋めながら
「大丈夫なの?あんなイベント出なくていいのに……」
「だけど……今、約束しちゃった様なもんだし……また出ないって言うのも、変じゃない?」
「具合が良くないんだし……二人で欠席すれば、特に何とも思われないと思うけど」
「でも白河先輩には、良くしてもらってるのに……嘘はつきたくないよ」
「そっか、分かった。でも、絶対一人行動は無しだからね」
「分かってるよ。もう、あんな怖い目には会いたくないもん」
灯はそう言って享の腰に抱きついた。
「あかりん?」
「ん?」
「人が見てるけど?」
「ん、いい」
「いいの?」
「Tallの匂い、安心するから」
『今日借りたTallのトレーナーが私を守ってくれるから大丈夫』と、本当は享に言いたい灯。
学部長との約束で抱きしめたい衝動を何とか抑える享だった。
そして。
「お集まりの皆様!昨日は、当事者の方々がお忙しかったり、お具合が悪かったりのとんだアクシデントにより、王子様&お姫様の発表が延期となり大変申し訳ございませんでした!!さて、本日はそれぞれの上位三名様ずつの全員の方においで頂くことが出来ましたので、早速、発表に移らせて頂きます!」
特設会場の壇上には王子様&お姫様の垂れ幕が掛かり、それなりの雰囲気を醸し出していた。
「では暫定の順位で、まずは王子様とお姫様をご紹介したいと思います!」
そこで花梨が立ち上がり司会者に食ってかかる。
「暫定って何かしら?お聞きしてないけど!!」
司会者も気を遣いマイクを外して花梨に話す。
「あー、落ちついて下さい。今年から導入致しまして、今ご説明しようと思っていたところです!」
「何なの、今年は来場者票とか何とかって」
花梨の視線は隣の席の美玲を飛び越えて、灯に向けられた。
灯は元々、俯き気味だったので花梨の視線には気づいていなかった。
享は心配そうに、その様子を見ていたが、隣の席の法学部二年の近藤要耳打ちした。
「要、昨日あれからどうなった?」
ご多聞に漏れず近藤もチーム鑑識だ。
要には、享が学部長室を後にしてからの、実行犯三人の動向と検察の動きを見張るチームのリーダーを頼んであった。
「三人はとりあえず一旦検察庁に同行されました、が、中でのことは不明です」
「まあ、そうだよな。有難う」
「はい。引き続き、あの特捜部のお二方には張り付けてます」
「おぉ、いいね。要、さすがだ。時期チームリーダー候補だけのことはあるな。君に頼んで正解だった。ただ、危ない時は逃げる様にとだけはくれぐれも伝えておいて欲しい」
「はい。心得てます」
「頼もしい、宜しく頼むな」
そんな会話があった事は誰も知らない。
司会者が今年の優勝者の最終決定の方法を話していた。
「ますば学内の票に関しましては、学祭前日を締め切りに、学生一人が王子様お姫様のそれぞれに一票ずつ投票出来ると言う事は例年通りです。強制ではないので、どちらか一方でも、どなたに入れないのも自由です!まあ速報版をご覧になって頂いたのであれば、個人票はご存知かと。ただ、本年はそこに今まで以上に公平性を期する為に当日の、まあ昨日のですが来場者票をお願いすることに致しました!また今までは人数換算だったところを単位制にさせて頂きましたのが、こちらの表です!尚、誠に勝手ながら100人以下は切り捨てさせて頂きまして、わかりやすい様にポイント換算にさせて頂きました!」
花梨は怒っていた。
『何が公平性よ!今更、そんなこと言って、実行委員会のメンバー全員、学長に言って退学にしてやるから!覚えておきなさいよ!』
例年であればストレートにお姫様は自分に決定していただけに怒り心頭に発している。
「そして、もう一つ!新たな試みと致しまして、ここで最終決定の決め玉!候補の方々に持ち点を差し上げることと致しました。それぞれの王子様候補は、ご自身か、どなたでもいいので他の候補の方に、お姫様もご自身か、どなたでもいいので他の候補の方に投票することができます!」
「え?何?それ」
どうやら花梨は黙って人の話を聞けないタイプらしいが、斜め前からの李人のキョトンとした視線に気づき、顔を赤らめて静かになった。
「王子様側は、全員が次点の近藤くんに候補者全員の持ち点を足しても、横溝くんには及びませんので、現段階で、横溝享くんの王子様は決定です!横溝くん、三年連続の優勝おめでとうございます!一言ありますか?」
「ちょっとお聞きしますが、現時点で持ち点を使っても辞退は可能ですか?」
「そりゃ、もちろん自由です!また持ち点は使っても使わなくても問題ありません」
「じゃ、コメントは最後に」
「はーい!わかりました!では、波乱のお姫様の方に話を振らせて頂きます!」




