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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第四十一話 Fire!(火事だ!)


「ただいま」


その日、崇達は五時頃戻って来た。

琢磨は相当楽しんだのか、崇に抱かれ寝たままだった。


社務所の中はお昼の後、きちんと享と二人でキレイに片付けた。

だいたい日暮には、もう訪ねてくる参拝者もいない為、ストーブも火を落とし、その日の授与料の入った小さな手提げ金庫を崇に渡す。


あとは棚に出ていたお守りや絵馬、おみくじなどを棚下の引き出しにしまう。


授与窓口の引き戸に鍵をかけ、外してあったカーテンをかけると本日のお仕えは終了だ。


灯は心配症なので享にも、もう一度ストーブがきちんと消えているかを一緒に確かめて貰って、裏口の扉の鍵をかけ、本堂に抜ける扉から自宅に入った。


「今日は本当に有難う。物心ついて初めて琢磨を遊園地に連れて行ってやれたよ」


灯がいた頃は、親の勝手で、まだ訳も分からない琢磨を遊園地に連れて行った事はあったが、楽しんだのかどうか分からず仕舞いだった気持ちがあった崇としては、大喜びした琢磨を見て相当嬉しかったらしい。


ただ灯としては

「結局、ご参拝の方はいらしたのは、ご近所さんだけだったから、お役に立ったのかどうかは……」

「何言ってるの!気持ちが嬉しかったのよ!灯、享くん、有難う!」

千紗子は笑い泣きした。



灯は、もう今日はこのまま寮に戻るからと夕飯は辞去して享と二人で神社を後にした。 


参道を歩く二人。


「あかりん」

「ん?」

「あかりん巫女さんって、すごいね」

「え?だから、あれは仮装じゃないんだからね」

「違うよ。封筒ごとお賽銭箱に入れたでしょ」


『トイレに行くって出たのに……』


封筒には、髪を売ったお金二万円が入っていた。

灯はそれをそのままお賽銭箱に入れて来た。


「見てたの」

「怪しかったから」

「内緒にしてよね」

「分かってるよ、そのぐらい」

「本当にワガママ言って寮住まいさせて貰ってるから、神様に有難うって事だけなんだから」


「偉いね、あかりん」

さりげなく享は灯の手を取って繋ぐ。

「夕飯どうする?」

「あのね……享のご飯食べたいかな……」

「本当に?」

「うん、ダメじゃなければ……ただおでんがまだお腹にいるから、軽いもので」


「ん?きな臭い」

「あっ!社務所の方」

「火事!!?」


二人は走って戻った。



「ちょっとで済んで良かった」

崇がホッとしたように呟いた。


災害時に備えて、この神社には大きな水瓶が用意されている。そこからご近所さんも交えたバケツリレーと水道のホースの水で火は消し止められたのだ。


消防隊員が駆けつけた時には既に火は収まっていた。

警察官と消防隊の人による聞き取りがあった中、社務所の外側の裏口あたりが一番燃えているのは分かったが、中からの出火では無さそうであることは判明した。


「もしかしたら放火の可能性がありそうですね。

何か心当たりはありませんか?」


崇は問われるも、恨まれるような心当たりはない。


しかもその場で火消しを手伝ってくれた、ご近所さん達が口々に、「宮司さんは人から感謝はされど、そんな理不尽なことをされるような方じゃない!」と次から次へと擁護の言葉しか出て来ない。


結局、「いたずらかもしれませんが、引き続き調査は致します」と警察官も消防隊も一旦帰って行った。


その日、神社自体が重要文化財であることもあり、警察が見回り強化をしてくれるということになったが宮守家の三人は大事をとって、駅に程近いホテルに泊まることになった。


「いやーこんなことに巻き込んで二人とも申し訳なかったね。気をつけて帰ってね」


崇に謝られた灯と享の方が、実は嫌な気持ちがよぎっていた。

その気持ちが、ただの杞憂であればいいのだがと同時に思うのは稀有なこと。


「あ!そうだった!さっき、ボク、変な人見たんだった。おトイレ行こうと思った時、真っ黒な人見たよ!三人いた」

琢磨が突然言い出した。


が、崇は、子供に問いただすのは無理があると判断し琢磨に言い聞かせた。

「有難う。琢磨、お父さんがお巡りさんには話しておくからね。琢磨は気にしなくていいよ」


『まさかね?いくら何でも……』


結局、なんの手がかりもなく、放火と判断はされたものの犯人は捕まらずと言う事で決着を迎えた。


だいぶ経ってから、女性ばかり五〜六人連れが参拝するでもなく、木陰から本堂を覗いていたと言う証言は出たものの、足取りは掴めず仕舞いだった。


ただ、その情報に関してだけを切り取って考えるに、やはり灯と享の心配は単なる杞憂ではなく、人を傷つけることを厭わない人間がいることが明確になっただけだった。


灯と享は更に行動に気を遣うようになって行った。


灯は、校舎内でも一人では絶対行動しないことを享に約束させられた上に、トイレも一人では行かないことと念も押された。


李人と付き合い始めた頃には、トイレに入っていたら、上から水が降って来たことがあったが、今回は犯罪も厭わない人間らしい。

そしてそれが、もし発覚しても揉み消す自信もあるのだろう。

恐ろしいにも程がある。


享にも考えがあった。

チーム鑑識(CSI)を活用することだ。


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