第三十八話 Oh my god, it’s morning already?! (うそ、もう朝なんだけど?!)
Just like starting overをご覧下さり有難うございます♪
お休みは嬉しいけれど、また明日から一週間が始まりますね!
ちょっと月曜日は嫌いな私。
電車で移動して仕事に行く時、対面側に帰路方向の電車が来てると飛び乗りたくなります……
もし、似た様なご経験をお持ちであれば、もしもですが……!
そんな皆様に少しでも楽しい気持ちになって頂けると嬉しいので、本日も午後8時に最新話をお届け致します♪
お楽しみくださいね☆
「ん?……」
何だか気持ちがいい。
『寮のベッドって、こんなにフカフカだったっけ?枕の高さもちょうどいいし……日曜日だしいいよね。もう少し眠たい』
灯は薄ぼんやり、開きかけた瞼をもう一度瞑ろうとした瞬間!ハッとした。
優しげに見守る様な享の瞳が目の前にあった。
ゴクっと喉がなった。
「おはよう」
「おはようって……」
「何か飲む?」
「その前に、この状況の説明をして欲しいんだけど、どうして私達、一緒に寝てるの!!?」
昨日、あれから享がしつこく、じゃ、この場合は?じゃ、これは?そしたらこういう時は?と、ずっと灯に質問を重ねているうちに、どうやら灯は疲れて眠ってしまったらしい。
そして享は、眠ってしまった灯をベッドに運ぶと、そのまま自分はソファに戻るはずが、過度なボディタッチさえしなければ、後は自由というところを拡大解釈し、添い寝をすることにした。
ただ眠かったはずの享も、目を開けると灯がいると思うと、とうとう朝まで一睡も出来なかった。
「おでこにキスはいいって昨日言ってたよ」
「え?」
「ほっぺまではO.K.って」
「え!!」
灯は最後の方は何を聞かれたか覚えてない。
適当に頷いていた気がする。
「本当に?そんな事言ってた?」
掛けられていたフワフワ毛布で顔半分隠しながら灯は聞いた。
「うん、でも何でだか急にソフトクリームが鼻に付いた時のぺろりはダメだって言われたけど」
『それ、子供の頃の話を思い出したから……言わなくてもいいこと言っちゃって』
享は灯が覚えてない事をいいことに、本当は口づけもO.K.と言われたと言いたかったが……我慢した。
その代わり、一つ嘘をつく。
「僕が抱きしめたい時は時と場所によるけど、ありだって」
「え?」
その享の嘘を灯は寝ぼけて自分の願望が口に出たと思った。
「今、してもいい事していい?」
「なな、何?」
「嫌ならダメって言って」
「何だか分からないから、やってみて貰わないことには……」
灯が言い掛けた時、享は毛布ごと灯を抱き上げて、おでこにキスしてから、そのままリビングに移動した。
灯をお膝抱っこしたまま、ソファに腰を下ろした享の顔を見上げたままの灯。
「あかりんもしたい事をしていい、僕もしたい事をする、結局、それでいいって事になったんだけど……お互い嫌な事はしないが追加条例」
「あ、そう」
「だから」
享はここぞとばかりに、自分の手前側の灯の左頬にキスした。
「え…」
そのまま、享の唇は優しいキスを繰り返しながら移動して、右側にも移動する。
そして口元近くまで行くか行かないかを繰り返す。
灯は次第に自分の鼓動が速まるのを感じて、息も苦しくなって来た。
多分、顔は真っ赤なんだろう。
享は灯の目を見つめながら言う。
「あかりんは信用しないかもしれないけど、女の子とこんな事するの初めてだから、何が正解か分からない。でも僕はあかりんが大好きだから、大事なひとだから、こうしたいって言うことだけは分かる」
急に灯は思い詰めた表情で俯き加減に享に告げた。
「Tall、私は……本当はTallにされて嫌なことなんて何もないの」
「え?」
「本当の恋人同士がすることだって……多分、嫌じゃない……渡辺くんとは手を繋ぐのも嫌だったから繋がなかったのに……Tallとは、本当に何も嫌なことがない」
「灯?じゃ、何で僕達は本当の恋人になれないの?」
「まだ……ダメなの」
「どうして泣くの?」
『無責任に、もうお嫁さんになるなんて言えない。今はもう大人だから。日本を離れる勇気なんて私にはない。でも私はTallと一緒にいたい……ただそれだけの本当はまだ子供なんだ』
蘇っていた約束の記憶。
灯はまた涙が止まらなかった。
そんな灯を抱きしめる享。
彼自身にも実はまだ灯に秘密にしていることがあり話せないこともあって、このままがいいのかもしれないと思い始めてしまっていたところではあったが……。
「とにかく、すぐには恋人になれなくても、恋人同士に近いって事なんだね?
黙って頷く灯。
享が灯のおでこにおでこをつけて
「本当に本当ホントですか?」
と聞いて来た。
灯は泣きじゃくりながらも
「本当に……ほんとに、ホント.……です」
「じゃ、指切りげんまん!」
「それは……」
「ん?」
「前の約束を思い出してからでいい?私、まだ忘れてる約束あるよね?」
「あ……うん……まあ、そうだけど」
灯は"享のお嫁さんになぁる"だけは思い出した事をバレたくなかった。当の本人が、もうそう思っていなくても、本当にその気持ちには応える勇気がない。
ぼんやり考え込んでいる灯に享は
「寮って外泊許可っているの?」
お膝抱っこから隣に移動した灯は享の胸にもたれながら答えた。
「本当はね……昨日、目黒に帰ろうと思ってたから外泊は出してあったんだ。毎回、Tallに送って貰うの遠いし悪いから……」
「また、そんな事!考えなくていいんだ。僕は長く一緒にいられる方が嬉しいんだから」
「でも……」
享は灯の髪にキスすると、
「僕の好きにしていいんでしょ?」
「ん……うん、まあ」
灯は享にキスされたところをちょっと触った。
「もっとしたい」
「え?何を?」
「可愛いすぎる……もっとギュッとしたい」
その時灯はいきなり立ち上がった!
「私、とりあえず目黒に行く!」
「じゃ、朝ごはん作るから待って」
「Tall?」
「ん?」
「一緒に来てくれる?」
「いいの?」
「ん、むしろ一緒に行って欲しい」
「行く!一緒にね」
朝のメニューはフレンチトーストにレタスとトマトの小さなサラダとストレートティーだった。
「ここからだと電車を待つのと歩くのと、そう変わらないかもね」
享が言った。
確かに隣駅。
神社は駅から五分ほど。
線路に対して同じ方側に位置する為、道路が真っ直ぐなら、むしろ近いのかもしれなかった。
神社の境内に入る。
銀杏並木が盛りを迎え、参道の両側に彩りを添えていた。
先の拝殿前の開けた場所でキャッチボールをしている男性と子供がいた。
「お兄ちゃん?」
「え!?灯か?」
「何してるの?」
「何って、琢磨と遊んでた」
灯は振り返ると享の顔を見る。
享は、何食わぬ顔で高くそびえ立つ銀杏の木を眺めていた。
灯は琢磨に駆け寄ると
「あの人と遊ぶとバカが移るよ」
「おい、子供に余計なこと吹き込むなよ」
琢磨はそんな二人のやり取りを見て笑っている。
灯は何げなく琢磨に
「あのお兄ちゃんに肩車してもらうと楽しいよ。ものすごーく大きくなる!やって貰いな」
「そうなの?」
琢磨は享に向かって走って行った。
「お前達、付き合ってんのか?」
徐ろに汐恩が灯に聞いた。
「付き合ってると言えば、そうかもだけど……じゃないと言えば、そうかもだし」
「何、言ってんだよ!お前、あいつの親が勝手なこと言ったから、父さんと母さんが別れたって分かってんのかよ」
「勝手なことって?」
「あいつの両親が、俺らのこと預かりたいって言い出して、父さんが怒り出して……」
「それって、お兄ちゃんがグレてた頃、夜遅く話の途中で帰って来た時のことだね」
「え?」
「子供達には聞かせたくなかったからって、わざわざ横溝さん夫婦は夜九時過ぎに訪ねて来て……」




