第三十五話 Angelic messenger?(天使の使い?)
今週はいかがお過ごしでしたか?
もう真夏!?
暑いのに弱い優月菜は結構ダレてますが……
皆様がお元気で楽しく過ごされたのであれば幸いです♪
本日も週末お疲れ様!という事で、午後8時に最新話をお届け致します。
お楽しみ下さいね☆
「夢じゃなかっだんだ」
享がメグがよく歌ってくれた子守唄を口ずさんでくれたら、何故か灯は眠ってしまったのだが、享に抱き寄せられて胸の辺りに寄りかかっていた時、ほのかに白い影が近寄って来たのが見えた。
後の記憶はぼんやりだ。
「ママが、これお姉ちゃんにって」
その白いフリフリの可愛いコートを着た少女が享に差し出したのは、縦に三センチほどのシンプルな十字架のネックレス。
その中央には何かは分からないが石がはめ込んである。
「これを?ママが、このお姉ちゃんに?」
「うん。私達ね、パパの日本のお仕事終わったから、明後日、アメリカに帰るんだ。今日はジョーおじさんにバイバイしに来たの」
「キッチン・ジョー?」
「そうだよ。私達は一階にいたよ」
駐日米軍の軍人なのだろうか?
パパと呼ばれる人は、金髪に灰青色な瞳、見た目は優しそうでいて鍛えられた体躯は人並み以上の持久力を物語っている。
一方、ママと呼ばれる人は黒髪を肩まで綺麗に伸ばしている細っそりとした日本人に女性に見えた。
確かにパパにハグされたら、奥さんはひとたまりもなさそうだ。
「で、ママはお姉ちゃんとお話ししたかったみたいだけど起こすと可哀想だからって……これ、渡してあげてって」
享は思わず、その母親の方を見た。
すると、何も言わず、仕草だけで"どうぞ"と伝えてくれた。
少女から十字架を受け取ると、その両親に向かってお辞儀をした。
少女が言う。
「お兄ちゃん、今はさ、お姉ちゃんも混乱してると思うんだ」
「え?」
「さっきジョーおじさんが言ってた。お兄ちゃんが探して探して、やっと八年ぶりに会えたんでしょ?」
『客を話題にするか……?でも、組み合わせ的には似た様な感じだからか?』
「うん、やっと見つけたんだ」
「お兄ちゃんは探してたから、やっと見つかって嬉しくて仕方ないかもだけど、お姉ちゃんはお兄ちゃんが探してること知らなかったんでしょ?」
「ん……そうだね」
「そしたら優しくして、いいとこだけ見せなきゃ嫌われちゃうよ」
「そうみたい。それは言われた」
「じゃ、あとはお姉ちゃんにママからの伝言。"あなたの気持ちを大事にして、家族はみんなあなたの幸せを祈ってるから"って」
「え?」
「間違わないでね!そのまま伝えて!じゃ、私行くね」
「ちょっと、待って!お名前聞かせて」
「わたし?私はメグ」
「マーガレット?」
「うん」
「あのさ、ミリタリーバッグの中に藍色の手提げ袋が入ってるんだけど出してくれない?」
灯を支えている方の手の先に置いてある享のバッグをマーガレットが開ける。
「可愛い手提げだね!あれ、マーガレットの刺繍が入ってるし!お兄ちゃん、パパがUSネイビーだって知ってたの?」
「何も知らなかったのにね……僕は君に会いたかったのかもしれないな。たくさんお菓子を詰めてあるんだけど、もし、良かったら貰ってくれないかな?」
「え?でも本当は誰かにあげるんじゃなかったの?」
「だから今は君に貰って欲しいんだ。メグにね」
マーガレットは両親の方を振り返ると、パパもママもうんうんと頷く。
「有難う、お兄ちゃん。もう少し若かったら私のボーイフレンドにしてあげたのになぁ、残念。じゃあね!」
「有難う、パパとママにも宜しく伝えてね」
マーガレットが両親と合流すると、三人は元町の薄暗い道路の先に霞んで見えなくなってしまった。
享は昨晩の話を灯に関わるところだけ話すと
「これ」
灯の目の前に胸ポケットから出した十字架を垂らした。
「天使かと思った……」
「いや、人間だったね」
「Tallは現実主義者だよね」
「お菓子を嬉しそうに持ってったからね。天使ならそんな事しない……と、思う」
その十字架を受け取りながら灯が言う。
「マーガレットって……まさかメグママじゃないよね?」
「生まれ変わり?!まさか……ふっ」
享は思わず大笑いした。
『何だか不思議……私の気持ちを大事にして、家族はみんな私の幸せを祈ってるから……って、どう言う意味かな?』
「あかりんは、いつも自分のことを後回しにするから、本当に神様が遣わした天使だったかもしれないね」
「後回しにしたとしても自分の気持ちに正直なだけ」
「まあ、そうだね」
「せっかくだから、これもつけたいな。Tall、つけて」
享に灯は背を向けた。
「暗かったから気づかなかったけど、この石青かったんだな」
「あ、Tallと同じ海の色だね」
「ますます恋人らしくない?僕達」
享がまたハシャギ始めた。
灯は、既にでかいことだけでも注目されている上に、女子の視線が痛い。その上また享に暴走されても困る。
「あ!クレープ!クレープ!」
享の手を取って、その場を離れた。
マリオンクレープ。
「どれがいいかなー悩んじゃうなぁ」
「あとどのくらい悩むの?」
「それが楽しいんじゃん」
到着してから既に、列には並ぶも灯はまだどの組み合わせのクレープにするかを決めかねている。
「Tallはどれにする?」
享の前にいた灯は顔を上げて享の胸に頭を預ける様に、もたれ掛かりながら、上目遣いに聞いて来た。
『うわっ、可愛すぎる!!!!!落ち着け享、落ち着け享、大人ぶれ』
「あかりんが好きなの二つ選んでいいよ。で、半分こすれば良くない?」
「え!いいの?何にしようかな!シナモン・アップルは絶対だから……あ、いけない!福ちゃんに前に聞いてたの忘れてた!」
灯は享の手を引いて列から飛び出した。
「何?どうしたの?」
「食べたいもの他にあった!」




