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Just like starting over 〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!!〜  作者: 優月菜


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第二話 Tall(トール)

第一話いかがでしたか?


本日は特別続けて第二話も投稿しちゃいます!

どうか、ごゆるりとお楽しみくださいませ。


スウェンセンズに着く。


ここはサンフランシスコ発祥のアメリカン高級アイスクリーム専門店。


灯は横溝(よこみぞ)(とおる)と呼ばれた男性(ひと)に腕を引かれて連れられて来た。


「アイスクリーム食べたら元気になるんだよね?」

「え?」


灯は考える。

『何でここでアイス食べようとしたの何で分かったんだろう……私のこと、あかりんって呼ぶのは一人だけど……』


赤と白のストライプのテーブルクロスのかかった木のテーブルに落ち着くと、店員がこの店のロゴ入りのタンブラーグラスにクラッシュアイスがたっぷり入った水とシャベル型のステンレススプーンと一緒に、トレイに乗せてメニューと共に運んで来た。


灯は何故、いまこの前にいる男性(ひと)とメニューを見ているのか?


今頃、何故、彼は灯を"あかりん"と呼ぶのか?


「どれがいいの?あかりん」


「あの……私のこと知ってるんですか?」

「知ってるよ。ずっと前からね……それよか先に食べたいもの選ぼうよ。※The Earthquakeを分けっこする?」

「え!!何言ってんですか!?」


『やたら発音が良すぎる、オーダーされちゃうかも!早く決めないと』


「バナナスピリットにする」

「いいね!じゃ僕もそれにしようっと」


店員を呼ぶと、その男性(ひと)はオーダーを済ませた。


『本当は分かってる。明るい|黄色味かがった茶色《ベージュブラウンの髪に、青い海(マリンブルー)色の瞳……背が高い……』


灯はようやく一つの答えを口に出す事にした。


Tall(トール)なの?」

正解(ビンゴ)


「いつ日本に帰って来たの?」

「大学に入学した時」

「え?二年半くらい前?」

「んー、そうかも」

「どこ大学なの?」

「あかりんと同じ大学」

「え!?」


『学年が違うとは言え、何でこんな人の存在に気づかなかったんだろう』と灯は思いつつも、まだまだ聞きたいことがあった。


「お父さんの転勤は終わったの?」


享は首を振った。


「え?じゃ、一人だけで帰って来たの?」

「うん。あかりんに会いたくて」

「何言ってんの?」


「東京には頼る親戚もいないし、大学生になったから一人でも大丈夫ってことで帰国したのは、あかりんに会うため」

「は?」



===



享は灯りが物心ついた時には、もう隣に住んでいる二歳年上のお兄ちゃん的存在だった。


灯には四歳年上の兄がいたが、全く妹に関心がない上に面倒を見ることもしなかった。


享は実の兄よりも灯にとっては近い存在だったのだ。


同じ幼稚園に通ったのは年少と年長の一年だけ、それでも毎日二人は手を繋いで仲良く登園。

後ろから見守る二人の母親達は、


「ホント仲良し、兄妹みたいネ」

「享くんが優しいから、いつも有難う」


と話し合う。


享の母親は、米国人(アメリカン)、金髪に海の色(マリンブルー)の瞳の綺麗な人、名前はマーガレット。

享の父親・横溝(よこみぞ)達志たつしは商社マン。

長期出張先のニューヨークの彼の勤務する支社で働いていた彼女(マーガレット)と恋に落ち、日本に帰る際にプロポーズが成功し一緒に帰国した。


そして灯は、享のマママーガレットから、

「背が高いコト、ワタシの国では、Tall(トール)って言うの」

と、教えて貰ってから、歳不相応に背の高いとおるのことをTall(トール)になぞられて、その発音通りにTallと呼ぶ様になった。


Tallは小学生になっても灯と遊んでくれる優しい男の子だった。


背は高いけど少しヒョロっした風貌。

色白の髪の色は黄色味がかった茶色(ベージュブラウン)、瞳の色は母親譲りの海の色(マリンブルー)


女子人気はもちろん抜群。

それをやっかむ男子にチョッカイを出されるも、優しい故にやり返したりしないので意地悪される恰好の的だった。


二年遅れで小学生になった灯は、三年生より帰りが早く、享が家に帰って来る間を待つのももどかしい。


一人迎えに行った公園で彼が五人の男子に囲まれてちょっかいを出されている、その現場を目撃した。


そこを猛突撃!

四歳上のお兄ちゃんがいる女子はケンカ慣れしてる事もある。

まさに灯はその口だった。


「三年生にもなって、何?弱いものイジメ?バッカじゃないの?!」

「なんだよ、チビ!お前なんか出る幕じゃねぇよ!ひっこんでろ」

「チビにチビって言われたくありません〜!!

Tallの方が大きいし!本気だしたら、あんた達なんかヒトヒネリなのにやらないだけなんだからね!」


享が心配そうに

「あかりん、大丈夫だから。ケガしたら困るから先に帰って」

優しく灯に小声で言う。


この頃にはもう享は灯のことを"あかりん"と呼ぶ様になっていた。


「何言ってんの?こんなヤツら私一人でもコテンパンにしてやるんだから!ほら、かかって来な!

Tallが優しいのをいいことに、大勢じゃなきゃ何も出来ないヨワムシ!!」


「何を!!」


一人が灯に手を上げた瞬間、享がその手を掴んで


「灯に手を出したら許さない」


低い声で呟いた。


他の四人の男子達は一瞬、誰の声か分からず、気づくと灯に手を上げた男子が享に片腕を取られて、つま先立ちになって泣きそうになっていた。


「分かった!分かったから離してくれっ!」

「もうかまわないって約束してくれる?」


同じ口が言ってるとは思えないほどの優しい口調に

「約束する!」

と答えたところで享が腕を離すと、その男子は尻もちをついた。


その後、実は享は怖いヤツと言う噂話が子供達の間で流れて、享をかまう男子はいなくなった。


「あの頃はあかりん気が強かったよね」





※The Earthquakeは

当時のスウェンセンズ人気メニューのひとつ。

1906年のサンフランシスコ大地震にちなんで名付けられアイスクリームが8スクープに、あらゆるトッピング(ホットファッジ、キャラメル、ホイップ、アーモンド、チェリーなど)がこれでもかと乗った超巨大サンデーのこと。


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