第十八話 My boyfriend made me lunch(彼氏がお弁当を作ってくれた)
Just like starting overをいつもご覧下さり有難うございます!
なかなか本音を言わない灯。
本音と考えすぎが思考錯誤をおこし、結局、空回りの享。
どうしたもんですかね?この二人。
そう言えば彼氏(もしくは彼女)さんに、お弁当作って貰ったことってありますか?
優月菜は作ったことはあります(#^.^#)笑
皆様はお弁当にまつわる思い出ってありますか?
聞かせて欲しいなぁと思う
優月菜でした♪
翌日、"ど真ん中ベンチ"に、昼休み早々場所を取った享。
『結局、昨日は追いつけなかった。道が違ったのかな?本当、昔からすばしっこいところは変わらないんだよな』
Dバッグの中から、お弁当の入ったバッグ、ポットなどを出し始める。
『早く来ないかな?お弁当美味しいって言ってくれるかな?』
まるで女子。
あれから享はハンズにまた行き、灯と自分にお揃いで色違いのお弁当箱やら何やら一式揃えた。
飲み物を入れる一人用ボットも色違いで二つ用意して、甘いミルクティーを入れて来た。
昨日、灯から貰ったクッキー缶も今日一緒に食べるために持って来ている。
『こっちがちょっと早く終わったからか……』
享が一年の校舎の方から走ってくる灯を見つけて立ち上がって手を振る。
移動している学生達の視線が、灯と享に交互に集まった。
「あかりん!」
「ごめん、終わらなくて……昨日もごめん」
息を切らしても尚も話そうとする灯を享はベンチに座らせた。
「これ、熱いかもしれないけどミルクティー」
蓋を取ってから差し出された水色のポットを両手で受け取る灯。
「え?飲んでいいの?」
「もちろん、あかりんの分だから」
「わ、わ、有難う」
灯はそのまま口をつけると、ゆっくりとミルクティーを一口飲んだ。
「ちょうどいい!熱くない!美味しい!落ち着く」
そう言いながら、また口をつける。
達は早速、ベンチの真ん中に大きめの青いペイズリー柄のバンダナを広げ、その上にお弁当バッグからお弁当箱とお箸入れを出して並べる。
その真ん中にはフルーツが入っていると思われるタッパーが置かれた。
お弁当箱とお箸入れは同じものの色違い。
まあお弁当箱は享の方が少し大きい。
灯には水色、享は藍色に統一していた。
ポットも同じくだ。
「まさか、Tall、昨日あれから、これ揃えてくれたの?」
「うん。だってお弁当自体は作った事なかったから、お弁当箱も何もなかったし」
「私の好きな色覚えてくれてたんだ……」
「もちろん、昨日もトレーナーそうだったじゃん」
「とにかく有難う!後で精算してね」
「あのさー、そう言うの今言わないでくれない?」
「あ、そうだね。ごめん」
享は近い関係にある事を嬉しく感じているのに、灯が色気も素っ気もないことを言ったことに対しての抗議だったが、灯は、擬装とは言え恋人同士の会話に聞こえなかったことを言われたと思ってしまっての謝罪だった。
何てすれ違い。
「まあ、とにかく食べよっか」
「うん!楽しみ!」
「開けてみて」
「わぁ」
灯はお弁当箱の蓋を開ける。
中身はバランスよく配されたおかずとご飯がきっちり詰められている。
ど定番玉子焼き、アスパラガスとにんじんを巻いた肉巻き、きんぴらごぼうの下にはレタスが敷かれ、アクセントにプチトマトが二つ。
ご飯はお弁当箱の三分の一ほど白ごはんが入っていた。
「ご飯のお供はこれね。ママ直伝のふりかけ」
「メグママの?」
「白ごはんが好きで、これだけでも何杯も食べられるっていつも言ってたんだ」
小瓶に入った白胡麻と細かく千切った海苔、それに乾燥したピンク色のものが入ってる。
「かけてみていい?」
「あ、でも口が大きいから気をつけて!たくさん出ちゃうから」
「え?上手くできるかな……」
「貸して」
「あ、はい」
灯が両手でお弁当箱を享に渡すと彼は器用にご飯の真ん中にこんもり乗せた。
「うわっ!天才」
「まあ、自分で作ったヤツだし。ごめん、いつもはスプーンで掬うのに、今日忘れたから」
「いやいや、早く食べたい!」
「ほれ」
享からお弁当箱を返された灯は、一旦、元の位置にお弁当箱を置くと、お箸を両手の親指にかける様に持ちお辞儀をしながら言った。
「いただきます」
「召し上がれ」
答えた享は自分のお弁当箱の蓋も開けないまま、灯の一口目を凝視している。
灯がそれに気づいて
「Tall、見られてたら食べにくいよ」
「あ、ごめん。最初の一口目は何かな?と思っちゃって……」
「もちろん、玉子焼きだよ!」
「だよね!よし食べる」
享もお弁当箱の蓋を開けると、手を合わせて
「いただきます」をして、ご飯にふりかけをかけて食べ始めた。
「そう言えば……Tall昨日もごめんね。先に帰っちゃって……何だか、いつもせわしなくて本当ごめん」
「そうだ、僕も気になってて。昨日、あれから追いかけたんだけど見つけられなかったんだよね。帰り道大丈夫だった?初めての道だったでしょ?」
「ん?でも、実は駅に戻るより近いって途中で気づいて早く帰れた」
「そうなの?じゃ、良かったけど、次からはちゃんと送らせてね」
「あ、うん」
『心配されるのって、ちょっと嬉しい』と思いながら、灯はご飯をふりかけと一緒に口に入れた。
「ん!」
「どうした?喉に詰まった?」
灯が頭をフリフリしながら
「何これ!白胡麻と味付け海苔?梅干し?」
「味付け海苔と白胡麻はちょっとすり鉢ですったのとカリカリ梅を細かくしたヤツ」
「これだけでも、ご飯食べられる!メグママすごい!美味しいっ!……いやいや、おかずも美味しい!!これ本当にTallが作ったの?」
「もちろん昨日のうちに大部分は作ったものだけど、玉子焼きだけは今朝焼いた」
「Tallママ〜♪有難う」
「ママはやめてよ。せめてパパにして」
「Tallパパ〜♪」
享はそう呼ばれて、ちょっと照れた。
「パパじゃなくてさー」
「ん?何?パパ」
「ダーリンにしてよ」
「ダーリンって"奥様は魔女"の?」
「あ……うん、それだね」
奥様は魔女※は子供の頃、夕方四時頃再放送していた海外ドラマ。
「ダーリン?」
「え?」
いきなり灯が享の顔を見ながら、声を掛けて来たものだから彼は思わず、ご飯を飲み込みそびれてむせこんだ。
「ゴホッ」
亨は胸を叩いてる。
灯は慌ててお弁当箱を置くと享の横に回り、背中をさする。
「大丈夫?」
「ご、ごめん。大丈夫!いきなり、あかりんが可愛いこと言うからさ」
灯が右手を享の肩に置き、左手で背中をさすっていたところを享が横を向いた為、かなりの至近距離で顔が近い。
しかも肩に置いた灯の手を享が左手で握っている。
「ねぇ、このままキスする?」
「!!」
※"奥様は魔女" 1970〜1980年代夕方4時か6時頃に再放送を何回もされていた不朽の名作テレビドラマ。「奥様の名前はサマンサ、旦那様の名前はダーリン。ごく普通の二人は、ごく普通の結婚をしました。ただ一つ違っていたのは奥様は魔女だったのです」アニメと共に開始する、このナレーションもお馴染み。




