第十四話 Look who's here!(待ってたよ!)
七夕ですね☆彡
今年の織姫様と彦星様はお会い出来そうかしら?
灯と享は再会を果たしましたが、灯はなかなか本音を言い合うことが出来ず、享はそんな彼女の本音を引き出すことも叶わず、じれじれが続きます!
さて、いつ二人は本音で話ができる様になるのでしょう?
お楽しみに♪
『びっくりしたわ』
ついさっき、追い回して来そうだった李人が、講義室に入って来た途端、灯の座ってる席に駆け寄ってきて早口に小声で言った。
「宮守さん、今までごめん。君の優しさにつけ込んでワガママになってた。横溝先輩と幼馴染なんだってね。しかも彼氏って横溝先輩の事だったなんて!僕なんかより、すごくお似合いだよ。君のことは諦める。お幸せに!じゃ」
『どう、いい含めたんだか……初めて会った頃の渡辺くんみたいだった。私が彼をあんな風にイヤな人にしちゃってたのかな?もし、そうなら……』
「渡辺くん!」
「え?何?」
むしろ呼び止められた李人の方が、何かいけない事をしでかした?かの様に、青ざめた顔で振り返った。
「私の方こそ、一ヶ月だったけど今まで有難う」
「え?いや、うん、じゃ」
李人はホッとした様に男子グループの方に去って行った。
『と、言うことはTallが何らかの話を李人くんにしてくれて……八時四十五分に校舎前を通れって、その前から来てたって事だよね』
横並びに三人座りできる様な長机に長椅子が、講義室の定番。
講義中にも関わらず、灯は名前も知らない隣の席の子に思わず声をかけた。
「あの突然ごめんね。三年生の時間割知ってる?」
「あ、いや、知らないけど……聞いてあげようか?」
「今日のだけでいいんだけど」
「分かった」
「有難う」
その子は何か書いたメモ用紙を講師の目を盗んで隣の席に回した。
次々と見ては渡っていく中、途中で折り返してメモ用紙が戻って来た。
「はい、これ」
「有難う」
そこには……
『嘘!講義三限からじゃん。午後一時まで何してるのかな?Tallどこにいるんだろ……』
わざわざ灯の事を考えて、李人に牽制する為に朝早くから大学に来てくれていた享の優しさが嬉しかった反面、無駄な時間を作らせた自分が情けなかった。
『こんな事、本当は自分で何とかしなきゃいけないのに……今日、会えるかな?こっちは三限まで講義だし……三限は体育だから着替えて移動もあるし、その前にご飯も食べなきゃだし……』
講義に全く身が入らない灯だった。
それでも時間が許す限り、三年生の講義室まで享の姿を探してはみたものの全く見つけることが出来ない。
土曜日に別れた時、「次はいつ会おうか?」と言う享に「校内で偶然会った時に決めればよくない?」と言った自分を今更ながら恨めしく思う灯。
とにかく今日中に享に会って、お礼が言いたい。
それだけのつもりだった。
『どこに行けば会えるのか?』
それだけしか考えられない。
唯一他学部との交流がある体育の授業はバトミントン。女子が多く楽しみにしているのに、いつもの様には行かず、髪型の騒ぎはここでも起きたが、
「大丈夫?体調悪い?」
心配の声の方が多かった。
そして
『あ!そうか。もしかして四限が終わる時間にあそこに行けば……』
思いついたら、もうそれだけしか考えられない。
一度、寮に帰ってシャワーを浴びて出直すことにした。
今、寮で流行っているバスボンのヘアコロンシャンプーとリンスのフローラルとフルーツ、灯の好きな香りはフルーツ。
今までは髪の長さで消費量も半端なく、香りと言うよりも値段で決めていたところがあった。
自分の髪が短くなって洗いやすくなった分、少し高いシャンプーとリンスを買える!と思って、昨日買い物に出た時に買っておいて良かったと思う灯。
そして髪を乾かして、いつもより可愛く見えそうな服を探す。
「ない」
普段通りの服装。
水色のフード付きのトレーナーにジーパン。
足元は白のコンバース。
『仕方ない……あとは駅前でお菓子くらい買って行くか』
駅前の不二家でクッキー缶を買った。
大学に灯が戻った時、時刻はちょうど四限が終わる頃、午後四時十分の終礼の鐘が鳴った。
灯は駐輪場に向かう。
自転車数台とバイクは幸いな事に一台しかなかっ
た。
HONDA CB400NスーパーホークIII
"コスモブラックメタリック"
全体は黒を基調にガソリンタンク部分は赤、パーツはメタリックカラーと言うシックなカラーのバイク。
『と、言うことは、これがTallのバイクだよね』
駐輪場の前で享を待つ。
これが灯が思いついた唯一の享と会う為の方法。
『もし、違ったら……』と不安な気持ちもよぎる。
そして数分後、何人かの友人達と話しながら校舎を出て来る享の姿が見えた。
『いた!!』
灯は思った通りになったことが本当に嬉しくて仕方がなかった。
享の方からも灯がいることが分かったらしく、大きく手を振って来た。
灯は恥ずかしいと思いながらも胸元で小さく手を振り返した。
享は友人達に別れを告げたのだろうか、じゃ、またと言う様に挨拶を交わした後、走って灯のところにやって来た。
「あかりん!待っててくれたの?」
「お礼が……言いたくて」
「何の?」
「朝の」
「え?」
しらばっくれる享に灯は大きな声で
「待ってたよ!」
顔を真っ赤にして言った。
何だか怪しい空模様。
今にも雨が降りそうです。
こんな日はお出かけしないでいられたらいいのに……
午後もお仕事ある方は織姫様と彦星様の再会を願いつつ、お互い頑張りましょう!!
でも本当は帰りたい
優月菜でした。




