第百十話 Back to school after a hospital stay.(久々の登校)
どっひゃー!
明日以降、投稿するつもりだった最終話まで手違いで一斉投稿してしまいました!
もしお先を読まれていらっしゃる方がいらしたら、ごめんなさい!!
第百十三話から、また明日より毎日投稿致しますので、どうかご勘弁のほど宜しくお願いしますm(_ _)m
「じゃ、行くよ」
「うん」
本当はこんな運転してはいけないが、大柄な享ならではの発想。
灯りの"相棒"の二人乗り。
コンパクトボディだから故に出来る技、前に灯は乗っているが、実際の運転は後ろの享がしている。
※1
腕の骨折でまだ、長めの時間、何かを支えるには不安がある灯を察してだ。
電車の移動よりは体力が戻るまで負荷をかけたくないと言う享のいい分を聞いた灯だった。
大学に到着。
いつもより二人は身体を密着させる様に、享は灯の腰に手を回し身体を支える。
それに答えるかの様に、灯は享の腰に左手を回して、ベルトループ※2 に、親指を掛けていた。
そんな二人の久々の登校に、周りが騒めかない訳がない。
すれ違う人、後から追いかけて来た人、様々な学年の学生達が灯と享に声をかける。
「ご退院おめでとうございまーす」
「大変だったね」
など、言われる度に
「有難う」やら「おっちょこちょいでー」みたいな挨拶を返す二人。
二年生の講義室に入ると一瞬ピリッとした雰囲気にはなったが、すぐにいつも通りのほんわかムードに戻り、二人を見守る。
先にいつもの席に座っている女子グループに享が声掛けした。
「皆さん、昨日は有難う」
「こちらこそ、お食事美味しかったです!有難うございました!」
と美春が代表して答えると、皆もウンウンと相槌を打って享に応えた。
そして灯に向かっての話しが始まった。
「灯ちゃん!良かった!来られて」
「お先に失礼しちゃってごめんね」
「横溝先輩から、体調に寄っては皆さんにご挨拶ないかもって聞いてたし全然大丈夫!」
「そうそう、むしろ美味しいご飯と先輩方やら何やらハンサムな男子に囲まれて友達増えたし、楽しかったよ!有難う」
「あれ?そうだったんだ、それなら良かった」
そんな会話の後、享が灯をいつもの場所に座らせるとおでこの横にチュとした後
「また、後で様子を見に来るから」
「うん、分かった」
「では、灯のこと宜しく頼みます」
享はその場を立ち去り、講義室のドアを出る前に振り返ると、灯に大きく手を振った。
灯もそれに応え、手を小さく振返した。
「まあ、朝からお熱いコト」
「何だか、しっくりしちゃって……まさか?」
「ないよ」
「「「「え?」」」」
女子四人が揃って驚く。
「二ヶ月も離れ離れになってたんだし、昨日は、これまた二人は気づいたらかき消すように、いなくなってたから……ねぇ」
「そうだよ!寂しかったよ、ワタシもよ、とか何とかでねぇ」
「ん?だって毎日、病院に来てくれてたし」
「それでもさ、いつも通りじゃなかったでしょ?」
灯と享が一緒に暮らしていることは誰も知らない。
となると、いつもより一緒にいたことになったと言う風に伝えないとおかしな話になる。
「毎日、夜の付き添いに来てくれてたから……」
灯の方から享との話が出る事は、なかなかない。
しかも少し照れ気味に口にした。
何を聞いても、享との間のことは、はぐらかされてばかりだった四人は超驚いた。
「え?今、なんて?」
美春がそう聞き直したところで講義が始まってしまった。
今日は七月九日、木曜日。
この日を退院後の初登校日に選んだのは、二限までしか講義がないからだ。
今の灯は日常生活に戻るためのリハビリ中とも言える。
一限が終わったと同時に享が講義室に後ろドアから入ってきた。
「うわっ!話を聞けないうちに横溝先輩来た!」
女子四人がワタワタしているところに享が来て、
「お疲れ様」と声をかけ、すぐに灯の横にしゃがんで耳元で囁くように聞く。
「おトイレ行く?」
「ん、大丈夫。帰りでいい」
「分かった……お昼食べたいものある?」
「え?何かな……」
「甘いものでもいいよ」
「ん……ジャムぱんが食べたいな」
「クリームぱんじゃなくて?」
大した内容でもないのに二人がコソコソ話しているのを聞いていると、甘い話に聞こえるから不思議と思ってしまう女子四人はトイレに行きそびれた。
そして二限が終わると、また享がやって来て、また灯を支えるように腰に手を回すと
「皆さん、また明日も宜しくお願いしますね」
と言って立ち去った。
「どんだけ灯ちゃん愛されてんの!?」
「本当、羨ましい〜」
「あの二人本当普段もあんな感じなのかしら?」
「尽くしてくれてるんじゃないの?レディファーストの国の血が流れてる人だもん」
「見てるだけで癒される」
「福ちゃんだけ、いつもちょっと意味違うよね?」
「え?そう?二人がいつも絵になるから〜♪」
いつもフワフワしてる福ちゃん。
その時、美春が聞く。
「そう言えばさ、あの時、福ちゃんの席に座ってたお友達って、何学部の人?」
「え?」
「灯ちゃんが怪我した日、福ちゃんに会いに来たけどすれ違ったって待ってた人」
「あぁ、あの人……何学部なのかな?」
「え?友達でしょ?」
「茶華道部で急ぎの連絡がある時、私だけ法学部だから来てくれる人なんだよね」
「そうなんだ……ちょっと雰囲気が福ちゃんに似てるから、灯ちゃんとトイレに行ったはずの福ちゃんが、一人だけ先に戻って来たのかと思ってたら、違う人が座ってたからビックリしたんだよね」
「え、そうだったんだ?でも、もうトイレの前で話は終わってだんだけどな」
「え?!そうなの?……ちょっと変な話だね」
その話を大和が聞いていた事を女子グループは知らない。
※1 当時の恋人あるある運転かも?
良い子は絶対マネしないでね!!
※2 ベルトループ(ベルト通し)
ズボンやスカートなどのウエスト部分に取り付けられている、ベルトを通すための帯状の輪のこと。




