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第2話『出撃の刻(前編)』

タコ小説の続きですっ(^^)v

第2話:『出撃の刻(前編)』


マリアナ海溝の底。永遠に光の届かない漆黒の深淵に構築された、タコ文明の軍事拠点。 タコス長老による厳粛なる勅令と、オクタン将軍、軍事顧問タコールの合意を経て、人類駆除のための最初の中隊がまさにその巨体を蠢かせようとしていた。


部隊長を任されたのは、若い個体でありながら数々の実戦で実績を上げ、スピード出世を果たしたマダラである。 彼は戦闘用の深紅のまだら模様をギラギラと激しく明滅させ、底知れない高揚感を隠そうともしなかった。


「おい、聞いたかタコワサ! あの地上の劣化哺乳類ども、我々の同族を気前よく食いやがっていたそうだ! 許せるか、あんな下等な害獣どもが我々の血族を口にしているという現実が!」


その背後で、副隊長であるタコワサは深いため息をつく代わりに、体表の色を冷静沈着な群青色へと変化させた。 インテリ気味で現実的なタコワサは、マダラの直情径行でイケイケな性格にはいつも手を焼いていたが、同時に、その圧倒的な突破力と指揮官としての類まれな才能に対しては、深い敬意を抱いていた。


『マダラ隊長、逸るお気持ちは分かりますが、軍の規律は厳守してください。我々の目的はあくまで生態系の浄化と報復であり、無駄なエネルギーの浪費ではありません』


「わかってるって! タコワサは相変わらず堅いなあ、もっと気楽に行こうぜ」


マダラは豪快に触話をうねらせ、配下の突撃部隊へ向けて力強いシグナルを放った。


『全個体に通達! 相手はせいぜい、木や薄い金属を浮かべただけの低俗な乗り物に乗っているにすぎない。複雑な奇策なんてものは不要だ!』 『お前たちの外套膜を収縮させ、吸水漏斗(じょうご)による高圧ジェット水流を叩き込め!――タコ足水流による、物理的破砕(クラッシュ・アウト)のみで、あのカスどもを海底へ引きずり下ろすぞ!』


副隊長タコワサは、やれやれと言い切るように体表をわずかに明滅させながらも、その鋭く研ぎ澄まされた吸盤をピタリと引き締め、マダラの命令を部隊全体へと完璧に調整・伝達した。


『了解した。各個体、マダラ隊長の号令に続け。……あの愚劣な害獣どもに、我が一撃の重みを教えてやる』


その命令が発せられた瞬間、何万ものタコたちが一糸乱れぬ動きで、漆黒の海底から静かに、しかし圧倒的な質量を伴って浮上を開始した。


潮流が変わり、海面が不気味にうねり始める。 だが、その異変に気づく者は、地上にはまだ誰もいない――。


(つづく)

ついに出撃だ!!人類どうなっちゃうの

続きもお楽しみに~

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