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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズを知る。

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重すぎる木刀。



ヴィルは深く目を閉じ、黙したまま思考を巡らせた。

――レイズに、何が起きているのか。


やがて低く呟く。


「……いや。あれは、もはや“レイズ”ではない」


リアナが顔を強張らせる。


「で、ですが……」


「後は、わたしに任せなさい」


静かにそう告げると、ヴィルは立ち上がり、奥の部屋へ姿を消した。

しばらくして戻ってきた彼の姿を見て、リアナは息を呑む。


――使用人の装い。


上質だが簡素な衣服に身を包み、腰には掃除用の布を下げている。

堂々たる当主の威厳は、跡形もなく消えていた。


「ヴィ、ヴィル様……? そのお姿は……」


リアナが困惑を隠せず問いかける。


ヴィルはただ一言だけ残した。


「……それでは、行ってきます」


振り返ることなく、静かに廊下を歩き去っていく。

その背中は、屋敷の主というより――まるで影に溶ける“探る者”のようであった。



「はぁ……はぁ……なんで……剣一本でこんな疲れるんだよ……」


ふらつく視線の先で、ふと一本の木刀が目に止まった。

その木刀だけ、他の武器とは違い、台座に丁重に置かれていた。


「……なんで、木刀なのに……あんなに大事そうに?」


そう呟いた瞬間。背後から声がした。


「――気になるなら、手に取ってみてはいかがですか?」


「うわぁぁっ!」


振り返ったレイズは飛び上がるほど驚いた。

まるで気配を感じなかった。そこに立っていたのは――老人姿の使用人、ヴィルだった。


「……なんなんだよ、お前……忍者かよ……」


ぶつぶつ言いながらも、レイズは言われた通り木刀に手を伸ばした。

だが――


「……な、なんだこれ!? 重っ……!!」


両腕にずしりと圧し掛かる重み。

ただの木刀のはずなのに、まるで何百キロの鉄塊でも持ち上げているようだ。


「両手で……もっと中心を握りなさい」


「なに偉そうに言ってんだよ……っ」


文句を言いながらも言われた通りにすると――


「……うおおおおっ……!」


なんとか持ち上がった。

だが、その瞬間に滝のような汗が噴き出す。

ただ構えるだけで全身が悲鳴を上げ、膝ががくがくと揺れた。


「……ぜぇ……ぜぇ……な、なんだよこれ……持つだけで死ぬ……」


ヴィルはそんなレイズに近づき、静かに告げた。


「――では、それを振ってみなさい」


「ムリムリ!! 絶対無理!!」


レイズが悲鳴を上げるや否や、ヴィルはふっと微笑んだ。

そして次の瞬間――


「失礼」


片手で、レイズの手から木刀をひょいと取り上げた。

信じられないほど軽々と


ヴィルは木刀を片手に持ち、ゆっくりと構えた。

その動きには無駄がなく、まるで大気すら静まり返るような気配を放っていた。


そして――一振。


「――ッ!」


地面へ振り下ろされる直前、寸止め。

だが、その刹那。


轟、と空気が震えた。

剣圧だけで石畳が抉れ、地面がぼこりと陥没する。

砂塵がもうもうと舞い上がり、訓練場全体を覆った。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!? な、なんだよそれ! 化け物かよ!!」


レイズは思わず悲鳴を上げ、心の底から本音を漏らしてしまった。


ヴィルはちらりとこちらを見やり、静かに口を開く。


「……これを持てただけでも、常人ではありません」


その目が細められ、鋭く光る。


「――さて。改めて問います」


木刀の切っ先をわずかに下げ、低く、しかし圧のある声が響く。


「あなたは……誰です?」



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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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