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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズを知る。

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ダイエットするだろ普通。


リアナが、おずおずと伺うように口を開いた。

「それで……次は、どうなさいますか……?」


俺は一拍置き、胸の内で軽く息を整えてから言った。

「もちろん――ダイエットする。この体じゃ重たすぎて、かなわん」


「っ!?!?」


リアナは目を見開き、そのまま崩れ落ちそうにふらついた。

「そ、そそそそそんな……レイズ様のお口から、“ダイエット”なんて……!」


今にも泡を吹きそうな勢いだ。


「いや、大袈裟すぎんだろ。見ろよ、この体を!」


俺は自分の腹を両手でつまみ、わざとぽよんぽよんと揺らしてみせた。柔らかい脂肪が波打つ感触が、妙にリアルで情けない。


「……ですが、レイズ様は素敵ですよ」

「バカにしてる?」

「そ、そそそんな! 許してください!!」


リアナは恐怖に涙を滲ませ、ひたすら首を横に振る。


「だから大袈裟だって! とにかくダイエットだ。体を動かせる場所に連れてってくれ!」


「は、はいっ!」


そうしてリアナに導かれ、俺は訓練所へと足を踏み入れた。


そこは石造りの広い空間だった。壁にはずらりと武器が並ぶ。剣、槍、斧――金属の冷たい光が、どれもやけに眩しく見えた。


「おぉ……これだよ、これ。ファンタジーを感じるね!」


胸が高鳴る。だが同時に、入り口に立っただけで汗が滲んでいた。俺の身体は、思った以上に重い。


それでも俺は片っ端から武器を手に取った。

「軽すぎる……これじゃダメだ」

「これも……うーん、しっくりこない」


夢中で武器を漁る俺を、リアナは少し距離を取って見守っていた。


やがて彼女は一礼し、控えめに言う。


「その……レイズ様。私は一度お屋敷に戻ります。また参りますので……どうか、お気に召すものをお探しください」


「おぉ、わかった。適当にやってるから、リアナはどっかで休んでていいぞ」


その瞬間、リアナの表情が止まった。


「っ……! そ、そんな“休め”なんて……初めて言われました……」


目を潤ませ、信じられないものを見るような顔。


「それでは……どうか、くれぐれも無茶はなさらぬように……」


そう言い残し、リアナは足早に去っていった。


「いやいや……大袈裟すぎるんだよ……ほんとに」


呟きながらも、俺はまた武器に手を伸ばした。


この肉体は重く、鈍い。けれど――不思議と今は、楽しくて仕方がなかった。

場面は屋敷へと切り替わる。


石畳の廊下に、慌ただしい足音が響いた。


「と、とうしゅさまっ! レイズ様が――!」


駆け込んできたリアナは息を切らし、声を張り上げた。


重厚な扉の向こうから返るのは、この屋敷の主――ヴィル。


「……何事ですか?」


低く落ち着いた声が廊下に響く。


リアナは涙目のまま、声を裏返らせた。


「れ、れ、れれいず様が――ダ、ダイエットを……!」


「――なに!?」


ヴィルの瞳が鋭く光り、その場の空気が一変した。


「詳しく話しなさい。リアナ」


リアナは訓練所での出来事を語り始めた。


豚の丸焼きを一頭しか食べず、野菜を求めたこと。

「休め」と労われたこと。

そして武器を漁りながら楽しそうに笑っていたこと。


「……そんな馬鹿な」


ヴィルは低く呟く。


まるで世界の理が崩れたかのように。


一方その頃、訓練所。


俺は武器を振り回しながら思考を巡らせていた。


(てか……レイズって、カイルに殺されるキャラだったよな……?)


ゲームではチュートリアルの悪役として登場し、主人公に倒される存在。


だがそれは、今のレイズから数十年も先の話だ。


(……もしかしたら、こいつは死なないで済むかもしれないな)


背筋がぞくりとする。


(それにしても……この頃のレイズって何者なんだよ?)


リアナに「レイズ様」と呼ばれ、恐れられ、敬われている。


そして思い出す。


アルバード・レイズ。


アルバードという家名。


俺はまた武器を手に取り、振り回した。


「はは……楽しくなってきた!」


ゲームでは語られない、レイズという人物の過去。


プレイヤーとして、これ以上に興味深いものはない。


「ハハハハハ!! やばいな!! めっちゃ楽しそうだ!!」


そして数分後。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


息が上がる。


「にしても……この身体、重すぎるぅぅ……!」


情けない雄叫びが、石壁に虚しく反響した。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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