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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズを知る。

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裸の付き合い。

レイズはついに――

「一人での入浴権」

という偉大なる権利を勝ち取った。


胸を張りながら湯殿へ向かい、体を洗い流す。

そして湯船へ足を入れようとした、その時だった。


ぞわり。

背筋に嫌な予感が走る。


(やばい……)


レイズの表情が固まる。


(この流れ……絶対あれだろ)


脳裏によぎる嫌な未来。

『お背中をお流しいたします』

『当主様のお世話は当然です』

『お気になさらず』

(来る……絶対来る……!)


レイズは湯船へ身を沈めながら、ちらちらと入口へ視線を向ける。

心臓が妙に騒がしい。

やがて――

静かに人影が差し込んだ。


(き、きたぁぁぁぁぁ!!)

レイズの脳内で警報が鳴り響く。

(ど、どうする!?)

(見ない!)

(絶対見ないぞ!!)


固く決意する。

しかし人影はゆっくりと近づき、

落ち着いた声で告げた。


「……お背中をお流ししてもよろしいでしょうか」

その声に恐る恐る振り返る。

そして視界へ飛び込んできたのは――

完璧な立ち姿。


整った顔立ち。

隙のない所作。

正真正銘の超絶イケメン執事。

クリスだった。

レイズは思わず叫ぶ。


「おまえかい!!」

浴場にツッコミが響き渡った。

クリスは首を傾げる。


「……はい?」


本気で意味が分かっていない顔だった。

「何かおかしなことを申しましたでしょうか?」

レイズは心の中で全力絶叫する。

 (いやいやいやいや!!)

(おかしいのはそっちだろ!?)

(なんで当主が風呂入ってるところへ普通に入ってくるんだよ!?)


(この屋敷どうなってんだよ…)


だが。

相手はクリスである。

あまりにも真面目だ。

そして何故か妙に格好良い。

そんな相手に本音をぶつけるのも負けた気がした。


レイズは咳払いをする。

「……ふっ」

無意味に格好をつける。


「よく来たな」


クリスは安心したように微笑んだ。

「ありがとうございます」

その返事にレイズは少し後悔した。

実はクリスがここへ来たのには理由があった。


少し前――

ヴィルとクリスの間で交わされた会話。


「……それではクリス」

「はい」

「レイズは入浴へ向かったようだな」

「そのようです」

ヴィルは深く頷く。


「ならば君も行きなさい」

「……はい?」

珍しくクリスが固まった。

だがヴィルは真面目だった。


「相談役として距離を縮めるには、ああいう場の方が心を開きやすい」

「し、しかし……」

「問題ない」

即答だった。


「むしろ効果的だ」

ヴィルはそう言い切ったのである。



そして現在。

クリスはその教えを忠実に実行していた。

湯気の中。

クリスは一歩下がり、静かに頭を下げる。

ヴィルの言葉を思い出していた。


(……流石はヴィル様)


尊敬の念が深まる。

(全て見抜いておられたのですね)

そして真っ直ぐにレイズを見つめた。

「やはりヴィル様のお考えは正しかったようです」

「ん?」

レイズは嫌な予感しかしなかった。


クリスは感慨深そうに続ける。


「レイズ様は私を待っていてくださったのですね」

「…………」


「このようにご一緒させていただけること、誠に感謝いたします」


レイズの脳内で大爆発が起きた。

(待ってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)

(一秒たりとも待ってない!!)

(むしろ来るなと思ってた!!)


だが。

外面だけは必死に取り繕う。

「あ、あぁ……」

引きつった笑顔。

「まぁ……そういうことだな」

クリスはほっと胸を撫で下ろした。


「ありがとうございます」


その笑顔は実に爽やかだった。

レイズは遠い目をする。


なお。

レイズは決してがっかりしていたわけではない。


決して。

がっかりしていたわけではないのである。

そしてクリスは――

レイズとの距離が縮まったと心から喜ぶのだった。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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