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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズを知る。

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魔王になる。

屋敷へ戻るレイズの足取りは重かった。

それはまるで――

決戦の地へ向かう兵士のように。


(開けたら最後だ……)


食堂の扉を見つめる。


(もう後には引けない)


脳裏に浮かぶのは、かつてプレイしたゲームの名シーン。

魔王城最深部。

主人公が仲間たちを見渡し、静かに告げる。


『みんな、覚悟はいいか?』


重い沈黙。

そして。


『もう後には引けないぞ』


仲間たちは力強く頷く。

誰も逃げない。誰も目を逸らさない。

そして勇者は扉へ手をかける。


――その先に待つ魔王との決戦へ。

レイズは深く息を吸った。


(……よし)


覚悟を決める。


(行くぞ)


そして。

食堂の扉を押し開いた。

その先に広がっていたのは――

期待を裏切らない光景だった。


いや。

期待を遥かに超える光景だった。

巨大なテーブル。

その中央に鎮座するのは。


豚の丸焼き。

一匹丸ごと。

どーん。

圧倒的存在感。

まるで宴会場である。


そして。

その隣に置かれていたもの。

小皿。

とても小皿。

申し訳程度の小皿。

その上に数枚だけ乗せられたサラダ。

以上。


レイズはしばらく固まった。

そして。

口元を引きつらせる。


「ククク……」


笑う。

乾いた笑いだった。


「これではまるで……」


肩が震える。


「俺こそが魔王ではないか……!」


勇者たちが倒しに来る側だった。

どう見ても。

完全に。

食生活が魔王だった。


そして。

レイズは絶叫する。


「逆だろおおおおおおおおおっ!!!」


魂の叫びが食堂へ響き渡った。

その声を聞きつけたのだろう。


奥の厨房から使用人が慌てて姿を現した。


「も、申し訳ございませんっ!」


深々と頭を下げる。


「サラダなどを添えてしまいまして……」


レイズは思わず叫ぶ。


「いや、そこじゃないからな!?」


使用人は固まる。

数秒考える。

そして何かを理解したように頷いた。


「し、失礼いたしました!」


厨房へ走る。

レイズは少し安心した。

(そうだ)(ようやく伝わった……)


(豚が問題なんだ…)(豚が…)


やがて使用人が戻ってくる。

その手には皿があった。

そして。数枚の葉っぱ。

さらに。

赤い実を薄く切ったものが添えられていた。


「こちらも追加いたしました!」


満面の笑みだった。レイズは黙った。

じーっと見た。葉っぱを見る。

赤い実を見る。豚を見る。

葉っぱを見る。豚を見る。

赤い実を見る。豚を見る。


「…………」


どう見ても誤差だった。

焼け石に水だった。

むしろ豚の存在感が際立った

使用人は少し不安そうに尋ねる。


「い、いかがでしょうか……?」


レイズはしばらく黙り込む。

そして遠い目をした。


(ダメだ……)


悟る。


(この屋敷にダイエットという概念は存在しない……)


その事実を。

誰よりも深く理解したのだった。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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