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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を…。―(現在物語を大幅にリライト中)  作者: くりょ
新たな始まり

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それぞれの方針は決まり

「ガイル様――よろしければ、我らと共に戦ってはいただけぬでしょうか……」


申し訳なさげに俯く一人の魔族に、ガイルは鼻で嗤った。

「馬鹿か、お前。

 あいつらは、元は人間の――俺が力を見せたところで納得すんのかよ!」


周囲の魔族たちの顔に、押し黙った不安が漂う。

しかし、報告を続ける者は震えながらも言葉を紡いだ。


「――恐らくは、納得するかと存じます。

 ヴェルイェイヌァイ達は既に、人間と盟約を交わしております。

 その“人間”とは、アルバードの――レイズという者です。」


ガイルの表情が一瞬変わる。名前に反応し、記憶の断片が脳裏を過る。

「アルバードの、レイズ……ああ。ティグルでディアブロに傷をつけたあいつか。

 そういえば、面と向かって会ったことはねぇな……」


周囲の者が、戦況の現実をあらためて打ち明ける。

「もし相手が魔法を無効化するのなら、我ら単独では厳しいのです。

 相手は魔法を扱い、こちらは魔法が通じぬ。戦力の構図がまるで逆になります」


ガイルは黙って地面を睨みつける。

風が巻き上がり、砂が足元に踊る。

やがて、低く唸るように言った。


「なるほどな……だが、分かったからって尻込みするつもりはねぇ。

 問題は“誰が何を狙ってるか”だ。奴らが誰の味方か――それがしりてぇな。」


怒りと理性が混ざったその声に、魔族たちは少しずつ希望と恐怖を交えた視線を向ける。

ガイルは拳を握りしめ、荒野の先に向けて静かに宣言した。


「アルバードの倅か、ヴェルイェイヌァイか――誰と手を組んでいようと、俺はこいつらを放ってはおかねえ。まずは情報を集めろ。」


そうして新たな方針へ向かうガイル達



玉座の間に満ちる空気は、いつになく穏やかだった。

王は背凭れに深く腰をおろし、正面にひざまずくリールを静かに見つめていた。


「リールよ。よく聞け。」


その声音に威圧はない。

ただ、決意と慎重さが入り混じった、王としての重みだけがあった。


「王国は――決断した。」


重い言葉が玉座の間に響く。

「アルバードへの攻撃は……行わぬ。」


リールの胸がわずかに揺れた。

その判断がどれほどの意味を持つか、彼には理解できていた。


「だが、条件がある。」

王はゆっくりと立ち上がり、階段を数段降りながら続ける。


「もし魔族がこちらを攻撃してきた場合――反撃の許可をよこせ。

 なにもしてこぬなら、こちらも手は出さぬ。

 互いに、干渉しない。これが我らの第一の約定だ。」


リールは深く頭を垂れる。

「……恐れながら、それは理に適っております。」


王は頷き、やや声を落とした。


「そして――メモリアルストーン。

 あの石の応用について、アルバードがどこまで知っているか……

 その技術を教えてほしい。これは極めて重要なことだ。」


一瞬、王の目がリールの奥を射抜く。

「リール、お前はあの国と取引をした。

 ならば分かるだろう。あの石は、ただの宝ではない。

 “力”そのものだ。」


リールは唾をのみ込み、静かにうなずく。


王は玉座へ戻りながら、最後の言葉を告げた。


「……そして、もう一つ。」

「我が――アルバードに赴く。」


リールは驚きのあまり、息を詰めた。

「お、王自ら……ですか。」


「本来であれば、アルバードの使者をこちらに呼びつけたいところだ。

 だが、彼らの領を荒らすことなく信を交わすには、

 我が足を運ぶほかあるまい。」


王の眼差しには、恐れも迷いもなかった。


「アルバードの主、レイズとやらに――我がこの目で会いたい。」


沈黙が玉座の間を包む。

やがて王は、やや柔らかい声に戻して言葉を結んだ。


「ただし、私一人では行かぬ。

 数名の“在位持ち騎士”を同行させる。

 これをレイズに伝えよ――“対等の立場”として話をするためだとな。」


リールは深く頭を下げた。

「……御意。必ずや、その旨を伝えてまいります。」


王はゆっくりと頷き、玉座の奥に視線をやる。


「――リールよ。もし彼が真に“理を知る者”ならば、

 この対話は、争いではなく“始まり”になるはずだ。」


その言葉が、静かに広間に落ちていった。


部屋の中には、ゆるやかな陽光が差し込んでいた。

レイズは窓辺に立ち、外の景色を見つめながら深くため息をつく。


「……リール、無事でいてくれよ。」

低く呟いたその声には、焦りと自責が滲んでいた。


「俺の判断とはいえ……殺されてたりしたら、どうすんだよ……」


そんなレイズの背中を見つめながら、イザベルは微笑んだ。

手にしていた本をぱたんと閉じると、からかうように声をかける。


「大丈夫よ、レイズくん。あの人はね、見た目以上に頭が回る。

 それに――なんとなくだけど、レイズくんに似てる気がするなぁ。

 相手の懐に入るのが、上手だから。」


レイズは振り向き、むっとした顔で言い返す。

「おれは相手の懐に入るつもりなんてねぇよ!」


イザベルはクスクスと笑いながら、軽く肩をすくめる。

「そう? でも――私の“懐”には入ってきたじゃない。」


「はぁ!? なに言ってんだお前!」


「だって、一緒に布団に入ったでしょ?」


「お前が勝手に入ってきたんだろうが!!」


イザベルはその抗議をまるで楽しむように笑い続ける。

「ふふっ…、そんなにムキにならなくても。」


その笑みには、あからさまなからかいの裏に、

レイズの張り詰めた心をほぐすような、優しさが宿っていた。


レイズは肩を落とし、ため息をひとつ。

「……お前、ほんと調子狂うんだよ。」


イザベルは微笑んで言う。

「でしょ? だから、もう少しだけ――気を楽にしてなさい。

 リールさん、帰ってくるよ。私たちのの“仲間”なんだから、ね?」


レイズはその言葉に小さく笑い、目を伏せる。

「……ああ、そうだな。」


外では、遠くで風が木々を鳴らしていた。

だがレイズの胸の奥では、ほんの少しだけ――

その不安が和らいでいた。



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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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