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新たな生命
ジュラの大地に――異変が起きた。
そこは王国の支配下にありながら、
並の人間では決して踏み入ることのできぬ禁域。
風は重く、空気は鈍く。
草木さえも沈黙する、静寂の土地。
その地に、ひとつの“生命”が芽吹いた。
小さく、かすかな鼓動。
まるで人と魔物が交じり合ったような、
あどけない容姿をした存在。
肌は透き通るように白く、瞳は夜明けのように揺らめく。
だが――それは、この世界の理には存在しない“何か”だった。
名前は、ない。
呼ぶ者も、いない。
そしてその無垢な生き物は、
風に紛れるような声で、初めて言葉を発した。
「……オナカ……スイタ……」
たどたどしい音。
それはまるで、初めて世界に触れた子が呟くように――
しかし、そこには確かに“生の欲”が宿っていた。
次の瞬間、
その瞳がゆっくりと大地を見渡す。
淡い金の光が瞳孔の奥で揺れ、
まるで“獲物”を見つけたかのように微かに口角を上げた。
「……タベル……」
そして、静寂を裂くように地を蹴る。
音もなく、影だけが走り抜けた。
ジュラの大地の空気が一変する。
見えぬはずの何かが、確かに“生まれた”のだ。
それが何であるのか、
何をもたらすのか――
この時、誰ひとりとして知る由はなかった。




