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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を…。―(現在物語を大幅にリライト中)  作者: くりょ
新たな始まり

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クリスとディアナのお使い

こうして場面は代わり

レイズに命令され買い物をするために町に出たクリスとディアナ


クリスとディアナが町に姿を現した瞬間、通りはざわめきに包まれた。


「な、なんて美男美女の二人だ!」

「見ろよ!!クリス様とディアナ様だ!!」


あっという間に人だかりができ、子供から大人まで声をあげる。

とんでもないカップルだと町中が色めき立った。


誤解されるクリスとディアナ

しかしクリスは落ち着いた声で、群衆に向けてきっぱりと言い放つ。


「皆様、勘違いしないでもらいたい。

 彼女は私の恋人ではない。――心からレイズ様に尽くす、私のパートナーにすぎません。」


突然の言葉にディアナは慌てて手を振る。

「そ、そうですよ!わ、私なんかでは!クリス様とカップルだなんて……!」


けれど、頬は赤く染まり、否定の言葉とは裏腹に視線を逸らしてしまう。


「ねぇ、パートナーってなに?」

子供の無邪気な問いかけに、クリスは真剣な眼差しを向ける。


「パートナーとは――。

 レイズ様を共に守り抜くと誓った存在。切っても切れぬ、生涯を共にする相棒のことだ。」


勘違いは広がっていく


町の人々は一斉にどよめいた。

「……それって夫婦ってことじゃねぇか!」

「なるほど、やっぱり最強のカップルだ!!」


笑い声が広がる中、クリスは必死に否定する。

「違います!!断じて誤解です!!」


だが、赤くなったまま黙り込むディアナの様子は、火に油を注ぐばかりだった。


――こうしてクリスの真剣な説明は、かえって町の人々の誤解を強めることになったのだった。


実のところ――クリスとディアナを町に送り出したのは、レイズの小さな悪戯心だった。


(あの二人はまだまだ壁がある……もっと仲良くなってもらわないと。)


レイズは心の中でいたずらっぽく笑みを浮かべる。

「よし、民たちよ。力をかしたまえ!」

まるで舞台監督のように、町の人々の賑わいまでも利用してしまう。


もっとも、ただの遊び心だけではなかった。

レイズには“メモリアルストーン”を活用する新しい閃きがあり、そのための材料集めを二人に依頼していたのだ。

香辛料や日用品に紛れて、石と組み合わせる特殊な素材――。


「大切な研究だから」と説明しながらも、どこか楽しそうに二人に頼んでいた。


だが、レイズは気付いていなかった。

自分の軽い仕掛けが、思った以上に大きな渦を生んでいることに。


町中を巻き込む騒ぎの中で、クリスとディアナはただの「買い物」どころではなく、

互いに意識せざるを得ない状況へと追い込まれていく――。



町の人々の熱狂が少し落ち着くと、クリスは一人ひとりに真摯に応じ始めた。

挨拶を交わし、手を差し伸べ、時には膝を折って子供の目線に合わせる。

その丁寧さと落ち着いた物腰は、騒ぎの中でも光を放つようだった。


「皆様、どうか取り乱さず……」

「お困りのことがあれば、私にできる限り力を尽くします。」


その声は柔らかくも真剣で、人々の不安や興奮を静めていった。


そんなクリスの姿を横で見ながら、ディアナは心の奥で思わずつぶやく。


(……ほんとに、グレサスとは全然違いますね。)


実力で人を従わせるグレサス。

それに比べ、目の前の青年は誠実に相手と向き合い、一人ひとりを尊重している。

その違いが、彼女の胸に強く刻まれていく。


気付けばディアナの目には、尊敬の色が宿っていた。

(やっぱり……この人は信用できます。)


頬が少し熱を帯びるのを感じながらも、彼女は黙ってクリスの横顔を見つめていた。


町のざわめきがまだ背後に残る中、クリスは一切の迷いを見せず歩みを進める。

「では――ディアナ。レイズ様の崇高なる使命を果たしましょう。」


その声音には一片の曇りもなく、ただ使命を胸に刻む真剣さだけがあった。

彼の背筋はまっすぐに伸び、周囲の視線など気にも留めない。


ディアナはそんなクリスの横顔を横目で見ながら、胸の奥に小さなざわめきを覚える。

(……やっぱり、この人はすごい。)


力強く、そして誠実に進み続ける姿に――尊敬以上の想いが芽吹きそうになる。

けれど、それはまだ彼女自身もはっきりと名付けられない感情だった。


ただ一つ確かなのは、そんなまっすぐなクリスに心を引かれてしまうのは、また別のお話――。



すべての買い物を終え、使命を果たしたクリスは自信に満ちた表情で屋敷へ戻ってきた。

「これでレイズ様のご要望に応えられました。」

誇らしげに胸を張る姿は、まるで戦場から勝利を収めて帰った英雄のようだった。


一方その横で、ディアナは頬をわずかに赤らめ、ちらりとクリスを盗み見る。

彼の真っすぐな在り方に、気持ちを揺さぶられてしまった自分に気づきながら――。



その様子を見ていたレイズは、ため息混じりに心の中でつぶやいた。


(……クリス。おまえは本当にいいやつで、そして残念なやつだよ。)


悪ふざけ半分で送り出したつもりが、思いがけず二人の間に新たな感情の種を蒔いてしまった。


けれど――。

「人のことを言えない」のは、レイズ自身も同じであることに気づくのは、また別のお話であった。



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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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