アルバードへの帰還
レイズはヴィルを背に、クリスはセバスを背に。
その姿は――まるで二人の巨星の重荷を、それぞれが受け取り歩むかのようだった。
アルバードの門が近づくにつれ、普段は見慣れぬ魔族たちが懸命に辺りを見回し、街を守ろうとしている姿が目に映る。
その光景に、レイズは涙を堪えきれなかった。
(ここは人の町だぞ……)
そう心で呟きながらも、背中に感じるひんやりとした感触が現実を突きつけてくる。
「ほら、ヴィル……帰ってきたぞ。みんながいる場所だ。俺たちの家だろ……」
返事は、もうない。
隣でクリスもまた、声を震わせながら告げる。
「セバス様……お帰りなさい。ゆっくり休める場所へ……お連れします」
二人は静かに、しかし確かにアルバードへ帰還した。
その姿を目にした瞬間、街の人々は信じられぬ光景に膝を崩し、次々と泣き崩れていった。
魔族たちもまた、騒ぐことなく、ただ静かに視線を落とし、悲しみに寄り添う。
フェリルは震える唇でレイズに声をかけようとしたが、言葉にならない。
レイはヴィルの顔を見つめ、ただ静かに涙を流していた。
そして、イザベルは叫ぶように声を上げる。
「いや!!うそだよね!!おじいさま!!」
その叫びにレイズは、絞り出すように答える。
「……おかえり、って言ってやってくれ」
イザベルは首を横に振りながら泣き崩れ、嗚咽を漏らした。
「……帰ってきてないよ……うぅ……」
こうして――ヴィルも、セバスも。
アルバードに確かに帰還を果たしたのだった。




