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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を…。―(現在物語を大幅にリライト中)  作者: くりょ
レイズはリヴェルを知る

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218話 化物の戦いの裏では




 地平線の向こうから押し寄せるのは、黒き波のごとき王国軍だった。

 空を覆う魔法陣の輝きが、昼間の太陽をかき消すほどに強く光り――次の瞬間、

 無数の魔法弾が空を裂いた。


 「来るぞ!」


 レイズの声が響くと同時に、四人の仲間が一斉に構えた。

 前衛はレイズとクリス。

 後衛にイザベルとリアナ。


 殺到する魔力の奔流を、彼らは正面から受け止めた。

 死属性の加護――その黒き波動が、触れた魔法を一瞬で霧散させる。

 火も氷も雷も、すべてが虚空に吸い込まれ、蒸発した。


 「なっ……!? 魔法が効かない!?」  「冗談だろう……!」


 王国の兵も騎士たちも、目の前の現実を疑った。

 その間にもレイズの仲間たちは一歩も退かず、荒れ狂う魔力を打ち消し続ける。


 最初に動いたのは、王国騎士の先鋒だった。

 「魔法が駄目なら、剣で仕留めろっ!」

 怒号とともに、地を蹴る音が響く。

 狙われたのは、イザベルとリアナ。


 イザベルはすぐに詠唱を始めた。

 「――ウォータードーム!」


 空気を震わせるほどの魔力が広がり、巨大な水の壁が二人を包み込む。

 透明な壁の内側で、リアナが両手に風の魔力を集中させた。

 レイズから託された大扇を構え、詠唱を叫ぶ。


 「風よ、裂けよ――エアロバース!」


 轟音。

 次の瞬間、水壁の内側から放たれた風圧が爆ぜ、

 水の壁を内側から押し出した。

 爆散した無数の水粒が、細かい刃となって外へ降り注ぐ。

 雨のように――だが、鋭さは刃の群れ。


 王国の兵たちはたまらず叫んだ。

 「目がぁっ!」

 「防げ、防げっ!」

 だがすでに遅かった。視界を奪う白い水煙が戦場を包み、

 敵味方の区別すら曖昧にした。


 「まずはあの女を倒せ! 次はあの小娘だ!」

 怒鳴り声とともに、数十の騎士が突撃する。


 だがその進路に、黒き影が割り込んだ。


 「――誰にも、指一本触れさせません!」

 クリスだった。

 闇の魔力が爆ぜ、瞬時に影が空を覆う。

 その闇が、敵の視界を一瞬にして奪った。


 「なにっ!? 視界が――」

 「どこだ!? 敵はどこに――」


 混乱の中、鋼の斬撃が閃く。

 クリスは三人の騎士を同時に相手取り、

 剣と剣がぶつかる音が火花のように散った。

 「ぐっ……化け物が!」

 「ウラトス…元王国騎士の裏切り者が、これほどとは……!」


 吹き飛ばされたロイクとサラディンは、地を転がりながらも再び立ち上がる。

 彼らの眼には恐怖と執念が入り混じっていた。


 その横で、レイズは正面の敵――王国第二位騎士デュランと対峙していた。

 斬撃と斬撃が交錯し、風が悲鳴を上げる。


 「レイズは……強い。グレサスの言葉は、本当だった……!」


 デュランの瞳には焦燥が宿る。

 ――今この瞬間、この青年を討たねばならない。

 その責務が、彼の心を焦がしていた。


 「来い、おまえ!!」

 レイズが叫ぶ。

 デュランの剣筋がうなりを上げる。

 重い。鋭い。ひと太刀ひと太刀に命がこもっている。

 レイズは押され、防戦一方となるが、その目は決して怯まない。


 「まだだ……!」


 その声に反応するように、空気が一瞬で凍り付いた。

 レイズが右手を掲げる。


 ――フローズン・フィアー。


 詠唱とともに、氷の魔法陣が足元から広がる。

 音もなく、一瞬で世界が銀色に染まった。

 吹き荒れる風が止み、空気さえ凍り付く。

 水滴が氷珠となって舞い、霧のような冷気が地を覆う。


 「な……! 体が……動かん……!」  「凍結魔法だ、障壁を張れ!」


 ぬれていた王国騎士たちは次々と凍りつき、動きを封じられた。

 魔力障壁で辛うじて耐える者もいるが、もはや膝が震えている。


 だが――。


 その中でもなお、氷を砕き動き続ける者が六人いた。

 六名の王国序列騎士。

 その名を呼ぶ声が戦場に響く。


 「第二位、デュラン!」

 「第三位、リューク!」

 「第五位、ジェイル=グラトニー!」

「第八位、エルンスト=ヴァレン!」

 「第九位、ロイク=ファルマー!」

 「第十位、サラディン=クロウ!」


 六人の剣が同時に構えられる。

 魔力が収束し、地が震える。


 「魔法が通じぬなら――剣で沈めよ!」

 デュランの号令とともに、六本の閃光がレイズとクリスを包囲する。


 剣がぶつかり、氷が砕ける音が轟く。

 クリスは咆哮のように声をあげ、影を踏み越えながら敵を薙ぐ。

 レイズは氷の床を蹴り、空気を裂いて突き進む。


 後方ではイザベルが巨大な結界を張り巡らせ、

 その中でリアナが風の魔法を連射して援護する。


 「くっ……! 数が多すぎる!」

 「リアナ、下がって!」

 「だめ、守るの……私の番よ!」


 風と水が混じり合い、氷の破片が空を舞う。

 戦場全体が、嵐そのものと化していた。


 レイズは息を荒げながら、仲間たちの姿を一瞬だけ見やる。

 その胸に、強い思いが宿る。


 ――ここで、負けるわけにはいかない。

 守るべき仲間がいる限り、俺は何度でも立ち上がる。


 そして彼は、剣を強く握りしめた。

 氷の剣が再び光を放ち、戦場を貫く轟音とともに――

 レイズの反撃が始まった。


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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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