終結
地を揺るがす激闘の末――
ついに、最初に「限界」を迎えたのはディアブロだった。
全身に走る亀裂からは抑えきれぬ魔力が漏れ出し、
膨大な力が逆に肉体を蝕んでいく。
「ぐ……っ……」
膝をついたディアブロの肩が大きく震え、力が抜け落ちていった。
「まずはおまえから退場だ!」
グレサスが勝ち誇るように笑みを浮かべ、大剣を振り下ろす。
「ディアブロおおおッ!!」
ガイルが絶叫する。
――その一撃を受け止めたのは、思いもよらぬ者だった。
ヴィル。
静かに、その身で剣を受け、代わりに崩れ落ちる。
「……っ」
大地に横たわるヴィルの姿に、誰もが息を呑んだ。
最初の脱落者――それはディアブロではなく、まさかのヴィルだった。
だが同時に、力尽きたディアブロもまた膝から崩れ落ちる。
二人の巨峰が同時に倒れた光景に、ガイルの顔は歪む。
「なんでだよッ……! てめぇ、ディアブロを……!!!」
怒りに狂ったガイルがグレサスに斬りかかる。
セバスもまた、友を奪われた怒りに我を忘れ、グレサスへ突進した。
グレサスは悟った。
――これは、もはや自分の死を賭す戦いだと。
ガイルの剣閃が届く――はずだった。
しかしその刹那、ガイル自身の膝が崩れ落ちる。
限界は、彼の体にもすでに迫っていたのだ。
最後に残ったセバスが、豪腕を振り抜く。
「ぉおおおおッッ!!!」
拳がグレサスの腹を貫き、轟音と共に彼の巨体を吹き飛ばした。
倒れゆく中で、グレサスは笑みを浮かべたまま気を失う。
――そして、その場に立ち続けられるのは、セバスただ一人となった。
セバスは重い足取りでヴィルのもとへと駆け寄り、
その体を抱き上げる。
「……っ……ヴぃル……」
頬を伝う涙を拭おうともしない。
一方でガイルは這いずるようにディアブロのもとへ。
「死ぬんじゃねぇぞ……! ディアブロ……!」
声を震わせ、涙をこぼす。
だがディアブロはうつむいたまま、何も答えなかった。
こうして――
怪物たちの長きに渡る闘いは、ついに幕を閉じた。
ヴィル、ディアブロ、ガイル、そしてグレサス。
それぞれが限界を迎え、誰一人として勝者を得ることはなかった。
残ったのは、荒れ果てた大地と、血に濡れた傷だらけの戦士たち。
轟音と咆哮が交錯した戦場には、今はただ静寂だけが支配していた。
――勝者なき決戦。
その名は、後に「怪物たちの闘い」として語り継がれることとなる。




