集結する。
リアノは涙を流しながら、必死に馬を走らせていた。
レイズから託された言葉は、最悪もう二度と会えない別れの言葉にも思えた。だが、それでも魔族たちに被害を及ばせないために伝えなければならない――その責任を背負わされたのだと理解していた。
本当は今すぐにでも戻りたい。けれど、それを許されない。
その葛藤に胸を焼かれながら、ただ必死に馬を走らせる。
数時間後、魔族領の手前にたどり着いたリアノの息は荒く、限界が近かった。
「これだけ……伝えて……戻らなきゃ……!」
そう思い、最後の力を振り絞って駆け込む。
そこにはすでに異変を察知した魔族たちが集まっていた。鋭い視線の中に、ダークエルフたちの姿も見える。
「なぜ……皆様……?」
リアノは震える声で告げた。
「レイズ様は……! 貴方たちに……避難を……と!」
その言葉に、魔族の長ヴェルビェイヌァイが口を歪め、低く笑う。
「おまえたちは勘違いをしている。我らがなぜ退かねばならぬ? なぜ逃げねばならぬ?」
その答えは、リアノにとって絶望的だった。
だが続けて響いた声は、力強く、揺るぎない。
「盟約を交わした我らの友を……なぜ見捨てねばならぬのだ!」
ダークエルフたちも声を揃える。
「純粋なる仲間を、我らが必ず助ける!」
「そうだ! 我らは純粋な戦士! 純粋を裏切りはしない!」
その言葉に、リアノは理解した。
魔族たちは王国と戦おうとしているのではない。
――レイズ、そしてアルバードを守るために集っているのだ、と。
堪えきれず、リアノは涙を流しながら叫ぶ。
「お願いします……! 助けてください!」
それはレイズの意図とは違う。だが、リアノの心からの願いだった。
魔族の長は大きく頷き、声を張る。
「聞いたな、我が同胞たち! 行くぞ!」
「おおおお!!!」
怒涛のような声が響き、一斉に魔族たちがアルバードの地へと踏み込む。
その姿を見た人々は恐怖に駆られ、腰を抜かして座り込む者すらいた。
だが、その魔族たちは人々に一切の刃を向けない。
一人が振り返り、力強く言い放つ。
「安心せよ! おまえたちを殺したりはせぬ! 我らはレイズを助けに行くのだ!」
その言葉を合図に、戦場へと走り去る。
アルバードの地に、また新たな力が向かっていた。




