戦闘はさらに過激になっていく。
ディアブロは咆哮と共に、周囲の魔力を一気に吸い込み始めた。
その吸引力は凄まじく、仲間であるはずのガイルすら巻き込んでいく。
「おい……まて! 俺まで吸うんじゃねぇ!!」
ガイルが怒鳴った瞬間——。
収束するはずだった魔力の渦を、ヴィルが割って入った。
鋭い蹴りをディアブロに叩き込み、その巨体を吹き飛ばす。
さらに追撃とばかりに剣を突き刺そうとするが——硬い。
剣先は肉を裂かず、まるで鋼鉄に阻まれるように止まった。
「……固いな」
ヴィルが短く呟く。
ディアブロは冷静に分析した。
「なるほど……こいつも魔法が通じぬ体か」
ガイルが苛立ちを隠さず舌打ちする。
「はぁ!? ほんとにつまんねぇ細工しやがる!!」
怒声と共に全力で剣を振り下ろし、ヴィルへ斬りかかる。
ヴィルは受け流すが、同時にガイルは剣を押さえ込むように掴み、そのまま蹴りを叩き込む。
衝撃にヴィルの体が吹き飛ぶ——だが剣を離さない。
そのまま蹴られた勢いを逆に利用し、空中で体をひねり反撃。
鋭い回し蹴りをガイルの胴へ叩き込んだ。
「ッ……ははっ……! 半端ねぇ力だな」
血を吐きながらも、ガイルは笑っていた。
「だが……まだ問題はねぇ!」
その異常な耐久力に、ディアブロは驚愕する。
いくら超密度の肉体を得たとはいえ、ここまで傷を負わせられるなど——常識外れだ。
「化け物め……」
それでも容赦のないヴィルは間髪入れず追撃。
剣を振り抜こうとするが、ディアブロが割り込み、両腕で掴みかかり頭部に牙を突き立てようとした。
そこへガイルも合わせて突撃。
黒剣に魔力をまとわせ、ヴィルの体をまっすぐ貫かんと突きを放つ。
——突き刺さった。そう思った瞬間。
「な……!?」
ディアブロの体が空高く蹴り飛ばされる。
そしてガイルの突きは、ヴィルの剣が横合いから叩きつけられ、完全に威力を削がれる。
直後、ヴィルの拳が稲妻のように閃き、ガイルの顔面へ。
「ッ……ぐはッ!」
強烈なパンチをまともに食らい、ガイルの体は地を割るほどの勢いで叩きつけられる
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圧倒的すぎる肉体と技の差に、ガイルは血を吐きながらも笑いが止まらなかった。
「まじでふざけてやがる!! 魔法が効かねぇのに……これかよ!!」
その叫びに応えるように、上空から吹き飛ばされ戻ってきたディアブロが牙を剥く。
魔力が思うように使えない苛立ちが、表情に剥き出しになっていた。
「チッ……!」
「おいおい、本気で怒ってんじゃねぇかよ!」
ガイルは笑みを浮かべ、さらに楽しげに吠える。
もう片方の戦いでは
セバスとグレサスは激しく剣を交えていた。
轟音と閃光が、空間を裂く。
グレサスの剣には幾重もの魔法がまとわりついていた。
その力を乗せ、斬撃をセバスの身体へ叩き込む。
だが次の瞬間、グレサスの表情が歪む。
——触れた刹那、剣に纏っていた魔力が剥がれ落ちたのだ。
「……なるほど」
セバスは静かに理解していた。
グレサスは強い。魔力を抜きにしても、この肉体と剣技の冴えは驚異だ。
認めざるを得ないからこそ、セバスも容赦をしなかった。
巨躯を揺らし、横薙ぎの一撃。
それを紙一重で流したグレサスの腕を、セバスは逃さず掴み取る。
「ッ……!」
驚愕する間もなく、セバスの怪力が唸った。
掴まれたままのグレサスは、巨岩を振り回すかのように宙を舞う。
「くっ……!」
咄嗟に蹴りを繰り出すが、鉄塊のような握力は微動だにしない。
そのまま激しい振り回しが続き、戦場全体を震わせていた。
グレサスは掴み上げられた腕に、剣の柄を叩きつけた。
鈍い衝撃が響き、セバスの手が一瞬緩む。
「……ッ!」
セバスは掴みを解かざるを得なかった。
荒い息を吐きながら、グレサスは距離を取る。
「さすがですね……! とんでもない力だ。それに……なぜだ? 魔力が思うように扱えない……」
対するセバスも、決して余裕ではなかった。額から滴る汗が、その証拠だった。
「貴様も……大したものだ。腕を上げたな……」
言葉とは裏腹に、次の瞬間には剣戟が再び火花を散らす。
グレサスが全身の力を解放し、剛剣を振り下ろす。
その圧力にセバスの大剣すら軋み、巨体が吹き飛ばされた。
「はぁぁッ!」
間髪入れずに追撃。
剣先が閃き、セバスの頭を狙って突き刺さる。
しかしセバスは即座に反応した。
「……!」
下から放たれた凄烈な蹴りが剣を弾き飛ばし、グレサスの身体を宙に浮かせる。
だが、空中の一瞬でさえ、グレサスは隙を見せない。
氷の魔槍を握りしめ、一直線にセバスを貫かんと突き出した。
「終わりだ……!」
——次の瞬間。
氷槍は触れた瞬間、音もなく掻き消えた。
「……な、に……?」
理解を超えた現象に、グレサスの眼が見開かれる。
その驚愕を突き、セバスの剣が容赦なく横薙ぎに振るわれる。
鋼鉄の壁をも断つ一撃に、グレサスの身体は大きく吹き飛び、深い傷が刻まれた。




