ディアナの心
ディアナ・フォルセティア ― 内なる物語
私は王国騎士、ディアナ・フォルセティア。
王国の命により、今はアルバードに留まっている。
その役目は「王国の目」としての務め。
…いや、グレサスに言われたのは「人質」という形だった。
だが私はそれを屈辱とは思っていない。
人質だろうと、任務の一環だろうと、私は誇りある騎士。
王国のために立つ存在であることは変わらない。
むしろ私は、王国から信頼されてここにいる――そう信じている。
けれど、アルバードでの日々は私の想像を越えていた。
あの青年、レイズ。
彼は誰よりも無鉄砲で、誰よりも仲間を想う。
鍛錬で血を流しても、笑いながら未来を語る。
その姿を見て、気づけば心を奪われていた。
私は彼を観察し、王国に報告しなければならない立場だ。
なのに、彼の一言ひとことが私を縛っていく。
「仲間はずれになんかできないだろ」
ただの軽口。
けれどその一言が、私の胸を温かくした。
…私は、王国のためにここにいるはずなのに。
彼のために剣を振るいたい。
彼のために、命を懸けてでも守りたい。
矛盾している。
だが私には「信用」こそが守る力の根本だという信念がある。
そして、レイズ様はその「信用」を、無意識に私へと託してくれた。
それを裏切ることは――私自身の誇りを裏切ること。
だから私は王国の人間でありながら、
心の奥ではレイズ様を守ると誓ってしまった。
私はまだ知らない。
グレサスが私をここに置いた「本当の意図」を。
自分がレイズ様を揺らす存在として利用されていることなど――。
ただ純粋に、誇りをかけてレイズ様を守る。
それが私の「使命」だと信じている。




