クリスの更なる誓い
女三人による激しい言い争いの最中――。
その光景を少し離れた場所で見守っていたクリスは、胸を熱くしていた。
「……なんとも、美しい光景だ。」
自分だけが特別だと思っていた忠誠心が、他の者たちにも同じように宿っている。
それは嫉妬ではなく、同志を見つけたような誇らしい気持ちだった。
そしてクリスは大きく息を吸い込み、声を高らかに響かせた。
「皆様!!!」
突然の大声に、その場の空気が凍りつく。全員が緊張した表情でクリスを見た。
「私こそが――レイズ様を守る唯一の僕であります!!」
誇らしげに胸を張り、木刀を掲げるようにして言い放つ。
「だからこそ!皆様は影から支えてください!
私が全力を尽くしてお側にいる限り、レイズ様に危害は一切ありえないと――ここに誓う!!!」
堂々たる宣言。
しかしその熱量に、レイズ以外の全員が一瞬ぽかんとする。
一瞬は同意の色を浮かべたように見えたが、すぐにまた先ほどの口論に戻ってしまった。
「ちょっと!私が一番近くで守るって言ってるでしょ!」
「それは私の誇りです!」
「いいえ、約束があります!」
――クリスの言葉は、なかったことのように時の流れに溶けていく。
クリスは誓いを立てた姿勢のまま、場に取り残されていた。
その肩をそっと叩き、レイズが微笑む。
「ああ、頼りにしてるよ。本当に。」
その一言に、クリスの頬を静かな涙が伝う。
それが感激の涙なのか、無視されたことへの痛みなのか――誰にもわからなかった。
それを見ていたリリアナは、柔らかく微笑む。
「ほんとに……みんないつまでたっても子供なんだから。」
その言葉は、長く彼らを見守ってきたメイド長の余裕と愛情から滲み出ていた。




