確実な成長を遂げる
グレサスは、胸の奥に拭えぬ「嫌な予感」を抱いていた。
それはただの直感ではない。
最強の剣神――王国が誇る白金の騎士である彼だからこそ、肌で確信できるものだった。
――何かが起きる。
非常に強大な力が、やがて王国を襲う。
その正体はわからない。
だが、アルバードの先――魔族領土の奥深くに潜む何かが、王国そのものを害するのだと、グレサスは悟っていた。
「……フッ、面白い!」
その口元に、不敵な笑みが浮かぶ。
「私はまだまだ強くならねばならんな。まったく、あの青年と関わってから……」
――レイズ。
王国の外れにありながら、いまや魔族をも惹きつける青年。
彼の存在は、グレサスの昂ぶりを抑えるどころか、むしろさらに燃え上がらせていた。
昂ぶる心は、止まらない。
来るべき強敵との戦いに備えるかのように、剣神は人知れず常軌を逸した鍛錬を重ねていく。
まるで運命が「全力の死闘」を約束しているかのように――。
その頃、魔族領では。
ディアブロとガイルが新たに得た「肉体の力」を試すように、次々と魔物を殴り倒していた。
魔力を封じ、肉体のみで。
殴打一つで大地を割り、蹴撃一つで巨獣を沈める。
魔族すら畏怖する進化を遂げた二人は、かつての存在を遥かに凌駕していた。
「ククッ……魔力がなくても、十分すぎる。」
ガイルは血に濡れた拳を握りしめ、獰猛に笑う。
ディアブロは低く笑い、「これでいい」と満足げに頷いた。
――レイズはまだ知らない。
自分の存在が、未来の「最強の剣神」を更なる高みに押し上げ、未来の「最強の魔王」は更なる進化を遂げ
同時に魔族の怪物たちをも進化していることを。
敵も味方も、歴史すらも。
レイズという存在によって、確実に動き出していた。




