レイズがいなくなった魔族領では
場面は魔族領。
魔族の長――ヴェルビェイヌァイは、ダークエルフの集落を訪れていた。
「突然の訪問に受け入れを示すこと、感謝するぞ、ダークエルフの者らよ。」
その落ち着いた声に、ダークエルフたちは眉をひそめる。
「用件はなんだ!!」と鋭く問いただす者もいた。
ヴェルビェイヌァイは微笑を浮かべ、静かに告げる。
「我は人間と新たな盟約を結んだ。
それはレイズ・アルバードのみならず、アルバードの者が魔族の領土に足を踏み入れることを、我らが許すというものだ。」
その言葉に広間はざわめく。
しかし、次の瞬間、ざわめきを打ち消すように声があがった。
「言葉はどうあれ――レイズは我らの家族も同然だ!!!」
「そうだ!!我らは彼の純粋さを知っている!」
異論はなく、ダークエルフたちは次々に合意を示していく。
ヴェルビェイヌァイは目を細め、胸中で思う。
――この気難しい連中ですら、まるでレイズを中心に意志が集う。
一体、あやつはどれほどのことをしたのか。本人はその重さを理解しているのか?
そして、声を高める。
「よって我ら魔族は、レイズ・アルバードが困難に直面したとき、必ず力を貸すつもりだ。おまえたちはどうする?」
フェリルが一歩前へ出て、真剣な眼差しで告げる。
「私は……私だけでも必ず力を貸します...」
続いてレイも毅然と宣言する。
「レイズは私の大切な――孫。絶対に私が助ける.....」
その言葉に、集落は波のように揺れた。
「あたりまえだ!むしろおまえらの手など借りずとも、我らだけで十分だ!」
「純粋を尊ぶ我らは、純粋な者を守る!!」
「そうだ!!我らは純粋なる戦士だ!!なめるな!!」
そうして響く「純粋」コール
広間に響く熱狂を、ヴェルビェイヌァイは腹を抱えて笑い飛ばす。
「グハハハハ!.....意味はよくわからぬ!が……よかろう。ならば、その時は頼みにするぞ」
こうして、レイズの知らぬところで、魔族領の中でも強き者たちが次々と味方として加わっていく。
それを――レイズも、グレサスすらもまだ知らないのだった。




