表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役転生 レイズの過去をしる。  作者: くりょ
レイズを知る。
13/105

夕食はお祝いですよ。



ヴィルは木刀を構える俺を一瞥すると、静かに言った。

「……では、私は仕事がありますのでここを離れます。夕刻には食事をたくさん用意しておきますから、しっかり食べるように」


「ま、待て……ヴィルぬぬぬぬぬぬぅぅぅ!」

木刀を必死に抱え込んだまま、俺は引き止める。


ヴィルは振り返り、首をかしげた。

「なんでしょう?」


「その夕飯って……今日はなにが出てくるんだぁぁぁぁぁ!?」


ヴィルはほんの少し口元を緩め、嬉しそうに答えた。

「そうですね。今日はお祝いに……像を一頭、こしらえようかと」


「アホかあああああっっ!!!」

反射的に木刀をぶん投げ、全力でツッコミを入れる。


「ヴィル、頼む……ヘルシーなのにしてくれ! 俺は痩せたいんだよ!!」


頑ななまでに譲らない俺の態度に、ヴィルは眉をひそめて声を荒げた。

「そんなことをしたら餓死してしまうだろうが!!」


憤慨したまま踵を返し、足早に去っていくヴィル。

俺はその背中に叫んだ。

「……ほんとに、あんたらの感覚おかしすぎるんだよ! 俺だけ? 俺だけなのか……!?」


そうぼやきながら、先ほど投げてしまった木刀を拾い上げる。

「んぬぬぬぬぬぬぅぅぅぅぅ……!」

全身を震わせ、大声で雄叫びを上げながら。


優雅さのかけらもないその姿は、しかしどこか必死で、眩しかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ