状況の整理
レイズは深く息を吐き、頭の中で今までの情報をひとつに繋いでいった。
――アルバードは滅びる。
未来で確定している結末。だが、その裏には必ず理由がある。
クリス。
セバス。
ヴィル。
この三人は、人の領域を超えた怪物だ。
その存在がありながらアルバードが消えるとすれば……答えはただひとつ。
「……寿命だ」
ヴィルとセバスが居なくなれば、その瞬間、アルバードの絶対防衛は崩れる。
それを待ち構えている者たちがいる。
王国。
そしてレイバード。
両者が組んで仕組んだ計画。
魔族との戦いをわざと誘発し、アルバードの戦力を削る。
やがて二大巨頭――ヴィルとセバスが寿命で消えたとき、残された者たちをまとめて潰す。
その未来を“当然のように”描いていた。
さらに、未来の物語では――
ガルシアの名も、イザベルの名も、ヴィルもセバスも、誰一人残ってはいない。
「つまり……最初から消される運命にされていたのか」
胸に冷たいものが沈み込む。
だが、それと同時に、燃え上がるような怒りが膨れ上がってくる。
「王国も、レイバードも……おれが全部ぶち壊す」
握りしめた拳に血が滲む。
それでも構わない。
血の誓いを交わした魔族と同じように、この身で誓う。
――アルバードは滅ばせない。
未来を、必ず塗り替えてやる。
レイズは拳を握りしめながら思う。
(そうか……俺はカイルと同じ“舞台”に立っているんだな)
カイルはゲームの主人公。
何度も絶望的な局面に立たされながらも、生き残り、仲間を救い、物語を進めていく。
だが、俺はどうだ。
ゲームの中では“存在したが序盤ですぐに存在しない者”。
アルバードと共に滅び、語られることすらない。
(つまり……俺はカイルと同じ運命を辿る。ただし、“敗北する側”としてな)
胸が冷える。だが同時に怒りがこみ上げる。
「ふざけんな……俺は消えるためにここにいるんじゃない。」
カイルが切り拓いた道を、今度は自分が越えていく。
そのために、この血の誓いも、メルェへの想いも、全部力に変えてやる。
(アルバードを滅ぼさせない。
イザベルも、仲間も……絶対に死なせない。
俺は、カイルとは違う形で未来を手に入れる)




