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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。28-36。話大幅に加筆してます。。)  作者: くりょ
レイズは強くなる

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そして、大きく流れは動く。



食堂に広がるのは、穏やかな昼下がりの空気だった。

レイズ、イザベル、ヴィル。三人だけの静かな食事の時間――その均衡を、突然の足音が打ち破った。


「――失礼いたしますっ!!」


扉を開け放ち、使用人が駆け込む。息を切らし、声を振り絞った。


「魔族が……ルーヴェ村の人々を襲っているとの報せが入りました!」


その瞬間、食堂の空気が一変する。

「魔族」という言葉に、レイズの眼が鋭く光り、イザベルは小さく震える。

ヴィルの表情も一瞬で厳しさに変わった。


「……妙ですね。魔族どもは近年、大人しくしていたはず。なぜ今になって――」


鋭い眼差しを窓の外に投げたヴィルは、すぐに言葉を切り替える。

「私が行きましょう。」


低く落ち着いた声。しかしその瞳は静かに燃えている。

だが、すぐに二人へと視線を移し、問いかけた。


「――イザベル、レイズ。二人なら、どう判断しますか?」


短い沈黙。

最初に声を発したのはレイズだった。


「……俺が行く。」


その決意に、すかさずイザベルが反発する。

「だめよ! 魔族よ!? もし本当なら危険すぎるわ!」


二人の意見は真っ向から割れた。


ヴィルは静かに補足する。

「ええ……イザベルの言う通りです。魔族は強大で、そして血を好む。彼らとの戦いには、常に多くの犠牲が伴いました。」


ゆえに、と続ける。

「私は一人で行くつもりです。」


「……!」


イザベルの胸が締めつけられる。

おじいさまを一人でなんて――。彼女はすぐに身を乗り出した。


「一人でなんてだめです! 私も一緒に行きます!」


だがその願いは即座に退けられる。

「……イザベル。貴女がいても、正直に申し上げれば足手まといになる。」


その言葉に、イザベルの顔から血の気が引いた。

唇を噛みしめ、何も言えなくなる。

――それが事実だから。

魔族と人との「力の差」はあまりに絶望的。

太刀打ちできるのは、もはや化物と呼ばれる存在のみ。


レイズは黙ってそのやり取りを見ていた。

――だが、心の中では違っていた。

(……魔族なら、俺がやれる。)


ゲームの世界で嫌というほど知っている。

奴らの強さも、恐ろしさも。だが同時に、自分には「死属性」がある。

絶対的な切り札がある。


レイズは立ち上がり、強い瞳で宣言した。

「……俺が行く。」


イザベルは叫ぶように反論する。

「そんなのダメに決まってるじゃない!!」


だが、ヴィルはただ頷いた。

――彼は、レイズの中に眠る力を知っているから。


「……よろしい。では――レイズ。」


ヴィルの声が、食堂の空気を震わせる。


「このアルバードを背負う者として、その力を示しなさい。」


イザベルは信じられなかった。

自分は止められたのに、レイズには「行け」と言うなんて。

彼がまだヴィルやセバスほど強くないことくらい、分かっているのに――。


それでも、レイズは一歩も引かず、ただ真っすぐに前を見据えていた。



イザベルは耐えきれず叫んだ。

「そんな……! おじいさま、レイズくんに死ねって言うのですか!?」


その声に、ヴィルの瞳が鋭く光る。

食堂の空気を圧し潰すような気配――軽い判断など一切ないことを、全身で語っていた。


イザベルの目から涙があふれる。

「じゃあ……せめて……せめて私だけでも、一緒に行かせてください……!」


その必死の願いに、ヴィルは頑なに首を横に振る。

「――だめです。」


「どうして……!」

涙に濡れたイザベルの声が食堂に響く。


だが、そこで二人のやり取りに痺れを切らしたレイズが、立ち上がった。


「……ヴィル。」

その声は、以前の彼とは違う、重みを帯びた響きだった。


「イザベルは、俺が必ず守る。」


一瞬の沈黙。

その言葉に、ヴィルの脳裏にはかつての少年レイズの姿がよみがえる。

――『僕がメルェを守る!』

そう叫んだ、未熟で、何も守れなかったあの日の少年。


しかし今、目の前にいるのは違う。

その瞳には、確かに覚悟と責任が宿っている。

かつての後悔を、乗り越えようとする強さが。


ヴィルは深く息を吐き、ゆっくりと頷いた。


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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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