俺たちならやれる!!!
レイズとイザベルが、いつものように軽口を交わしていると――。
そこへリアナが駆け寄ってきた。
真剣な眼差しを浮かべ、深く頭を下げる。
「……レイズ様。申し訳ございませんでした。
このリアナも……前に進めるよう、精一杯精進いたします」
落ち込みに囚われていたはずのリアナ。
だが、立ち上がり前を向いたレイズの背中を見て、
改めて心の底から尊敬の念が込み上げていた。
続いて口を開いたのはクリスだった。
彼は珍しく顔を伏せ、言葉を探すようにして――。
「……恥ずかしい限りです。
私は、この言いようのない想いを、未だに引きずっていた。
けれど……レイズ様はすでに乗り越え、進んでおられる」
その声には悔しさと同時に、眩しさに目を細めるような敬意が滲んでいた。
「だからこそ、私も――レイズ様に恥じぬように。
前へ進みます」
リアナとクリス。
二人の誓いの言葉が、静かな空気を震わせる。
その場に流れるのは、もはやかつての迷いや悲嘆ではなく――
未来へ向けて歩き出そうとする、新たな決意が芽生える。
仲間たちがそれぞれに決意を口にし、場に静かな熱が宿る。
その様子を見渡したレイズは、胸を張って笑みを浮かべた。
「……俺たちなら、絶対にやれる」
短く、それでいて力強い言葉。
リアナとクリスは思わず顔を上げ、その背中に未来を見た。
「よしっ!! クリス、風呂行くぞ!」
あまりに唐突な誘いに、空気が一変する。
クリスは一瞬きょとんとしたが、すぐに表情を輝かせ、
「は、はいっ!!! 光栄です!!」と元気よく返事をする。
勢いよく風呂場へ向かおうとした、その時――。
「ご、ごめんなさいっ!! まだお風呂の準備ができてません!!」
慌てて飛び込んできたリアノが声を上げる。
美しく結ばれた決意の流れは、あっけなく崩れ去った。
しん……とした空気。
次の瞬間、イザベルが堪えきれず吹き出す。
「ぷっ……もう、レイズくんってば!! ほんと雰囲気壊すの天才だよね!」
レイズは頭をかきながら「うるせぇ!」と声を張る。
だが、その顔には確かに――柔らかな笑みが浮かんでいた。
リアノは顔を真っ赤にしながら、深く頭を下げた。
「す、すぐに準備いたしますっ!」
そう言うが早いか、バタバタと音を立てて慌ただしく駆けていく。
その背中を――レイズとクリスは、ただ無言で見送った。
……沈黙。
ぽつりと、レイズが一言。
「……なぁ、あいつ、走る音まで必死だよな」
クリスは返事をせず、真顔のまま小さく頷く。
二人の間に、妙な静けさと可笑しさが同時に流れていた。




