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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。180-189話修正、大幅に加筆しました。)  作者: くりょ
レイズは強くなる

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成長してしまう寂しさ。

食堂に三人が揃う。

重たい空気の中で始まる食事。

イザベルは何度もレイズへ視線を向けていた。

話しかけたい。

何か言いたい。


けれど、何を言えばいいのか分からない。

目の前にいるのは、確かにレイズだ。

だが、違う。


ほんの数日前まで、自分より幼く見えていた少年が、中身は変わってもその距離感は近かったはずだ。

だけど…今はずっと遠くにいるように感じられた。


その視線に気付いたヴィルが静かに口を開く。


「イザベル。あまり見つめてはいけませんよ」


「べ、別に見てないです……よ?」


慌てて視線を逸らす。


するとレイズが苦笑した。


「まぁ仕方ねぇよな」


そう言って肩を竦める。


「今の俺、かっこいいからな」


その言葉にイザベルは思わず吹き出した。


「……いつもかっこいいじゃない…」


小さな呟き。

レイズには聞こえていないと思った。

だがヴィルだけは聞こえていたらしい。


「ええ。実に立派なことです」


誇らしげに頷く。

そのやり取りに、少しだけ空気が和らいだ。

だがイザベルの胸には、別の感情が残っていた。


いつもなら違った。

レイズは真っ赤になって否定したはずだ。

慌てて。照れて。子供みたいに。


けれど今日は違う。

落ち着いている。

冷静だ。


その姿は嬉しいほど頼もしくて――同じくらい寂しかった。


(……置いていかれちゃったみたい)


ふと、そんな考えが浮かぶ。

その瞬間だった。


「イザベル」


不意に呼ばれ、肩が跳ねる。

レイズは何でもないことのように言った。


「おまえも、すごい可愛いよな」


「――っ!?」


イザベルの顔が一瞬で真っ赤になる。


「な、な、なっ!? なんで急にそんなこと言うのよっ!!」


椅子から立ち上がりそうな勢いで叫ぶ。

だがレイズは平然としていた。

からかっている様子もない。

ただ事実を口にしただけ。

そんな顔だった。

その姿を見て、イザベルは理解してしまう。


(そっか……)


胸がきゅっと締め付けられる。


(また、成長しちゃったんだね……レイズくん)


嬉しい。本当に嬉しい。

それなのに少しだけ寂しい。


そんな複雑な感情を抱えたまま、イザベルはそっと視線を逸らした。


ヴィルはそんな二人を見つめながら、静かに目を細める。


(本当に立派になったものだ……レイズ…)


誇らしさが胸に広がる。

やがてヴィルは咳払いを一つして話題を変えた。


「それで、午後はどうするつもりで?」


レイズは迷うことなく答える。


「鍛練だ」


短い返答。

だが迷いはない。

ヴィルは満足そうに頷いた。


「そうですか。実に素晴らしいことです。ですが、くれぐれも無理はしないように」


「分かってる…。」


レイズは短く答える。

イザベルはそんなやり取りを黙って見ていた。

レイズはもう前を向いている。


悲しみも怒りも抱えながら、それでも進もうとしている。

魔法の知識も。

戦う術も。

必要なものを次々と身につけている。


自分が教えられることも、少しずつ減っている。

そう思うと胸の奥が少しだけ苦しくなった。

その時だった。


「――そうだな、イザベル」


レイズがこちらを見る。


「この後、よろしく頼む」


真っ直ぐな声。

イザベルの胸が大きく跳ねた。

一瞬で曇りが吹き飛ぶ。


「も、もちろんだよ!?」


思わず声が上ずる。

けれど止められない。

嬉しかった。


まだ自分を必要としてくれている。

その事実が何より嬉しかった。


一方レイズは、そんなイザベルを見て小さく笑う。

そして視線を料理へ向けた。


(……いや、もうお腹いっぱいなんだけどな)


心の中でぼやきながら、静かにフォークを手に取った。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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