「教えて〜!フローラ先生!」③〈スキル編〉
冒険者ギルド、開店前。
フローラがカウンターで書類を整理していると、また誰かの気配に気づいて顔を上げた。
「あ、今日も開店前だけど大丈夫だよ〜」
人差し指を立てて、にこりと笑う。
「じゃあ今日は——”スキル”について教えちゃおうかな!」
「スキルはね、冒険者のほとんどが持ってるものなの」
カウンターに軽くもたれかかる。
「育ってきた環境とか、何を得意とするかで、人によって内容は様々。剣が得意な人は剣関係のスキルを持ってたりね」
人差し指を、今度は一本だけ立てて見せる。
「基本は——一人につき、スキルは一つ」
そこで、少しだけ声を潜める。
「でもね、何かの境目で、複数のスキルを持つようになったり、新しく授かったりすることもあるんだよ」
「え、複数持ちの人もいるんですか?」
カウンター越しに、受付に来た冒険者が思わず聞き返す。
「うん。中でも——一番所有数が多いのは、勇者」
フローラは指を五本、立てて見せた。
「なんと、五個以上って言われてるの」
「五個以上……」
「さすが、人類最強ってやつだよね」
フローラは書類を軽く揃えて、笑顔を作った。
「——って、あ。やば」
視線が、ギルドの奥に向く。
「おい、フローラ!どこだ?」
声が近づいてくる。
「ギルマスだ!」
フローラは慌てて書類を抱え直した。
「今日の授業はここまで!じゃあね〜!」
※ただ一人、この「一人につき一つ」に当てはまらない冒険者がいる。
それは、アル。148年間アンデッドとして生きた中で、出会った冒険者や魔導士の記憶と力をそのまま宿している彼は、一つどころか——148年分のスキルと魔法を、そのまま使うことができる。
「教えて〜!フローラ先生!」③〈スキル編〉
第三話・完




