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第三十四話 「嵐の再来」

「な、何……これ。」


ゴーレムの胸の奥。


そこには、一人の子供が横たわっていた。


誰も、すぐには言葉を発することができなかった。


ルシアが震えた声で口を開く。


「え……ちょっと待ってよ。」


「何で……ゴーレムの中に人が入ってるの?」


クロードは険しい表情で、ゴーレムの内部を見つめる。


「このゴーレムは……」


「魔力核ではなく、人の何かを力の糧にしていたということか?」


ニキが首を振る。


「……いや、おかしいだろ。」


「ゴーレムは普通、魔力核を持っているはずだ。」


Bランク冒険者が静かに呟く。


「つまり……」


「これは自然に生まれた魔物ではない。」


ハインが息を呑む。


「人工的に……作られたってことか?」


その言葉が、ダンジョンの中に響いた。


アルはしばらくゴーレムを見つめる。


だが、静かに首を横に振った。


「もし、そうだったとしても……」


「今ここで分かることはない。」


レオンが周囲を見る。


「今の最優先事項は、このダンジョンから脱出することだ。」


「ここに長くいるのは危険だ。」


アルは頷く。


「うん。」


討伐メンバーは地上へ戻るため、歩き始めた。


しかし、誰も先ほど見たものを忘れることはできなかった。


____________


しばらく進んだところで、ミリアが口を開く。


「ねぇ……。」


「もし、本当に人工的に作られた魔物だったら……どうなるの?」


Bランク冒険者は少し考えてから答える。


「まず、間違いなく歴史が変わる。」


「魔物が人の手によって作られた存在なら……」


「それは、人類にとって最大級の危機になる。」


ネオが続ける。


「そして……」


「この情報は、簡単には国民には公開されないだろうな。」


「混乱を招く。」


その瞬間だった。


――ゴゴゴゴゴ……


地面が揺れ始める。


ミリアが周囲を見る。


「え……?」


「地震?」


フィンが天井を見上げる。


「いや……違う。」


「このダンジョン自体が崩れ始めてる。」


クロードが険しい表情になる。


「ゴーレムとの戦闘の影響か……。」


天井から、小さな石が落ちてくる。


それは次第に大きくなっていく。


ルシアが叫ぶ。


「まずい!」


「早く脱出しないと!」


その瞬間――


「アル!!」


レオンの声が響いた。


アルが上を見る。


そこには、巨大な岩が落下していた。


「危ない!!」


レオンは咄嗟にアルへ駆け寄り、強く押し飛ばす。


「レオン!?」


――ズドォォン!!


轟音。


巨大な岩が地面へ叩きつけられる。


砂煙が舞い上がり、視界が完全に奪われる。


「レオン!!」


アルが叫ぶ。


しかし、返事はない。


「レオン! 返事しろ!!」


――


「……っ、いてて。」


岩壁の向こうから、くぐもった声が返ってきた。


「無事だ……多分、擦り傷だけで済んだ。」


安堵する間もなく、砂煙が晴れていく。


そこには――


巨大な岩壁ができていた。


落石によって道は完全に塞がれている。


(……分断された。)


アルは拳を握る。


(俺の向こう側にいるのは……)


(レオン、ルシア、ギル、クロード達、そしてBランク冒険者。)


(そして、こっち側にいるのは……)


(ネオのパーティか。)


ニキが叫ぶ。


「アル達!」


「待ってろ! 今、魔法でこじ開けてやる!」


ギルがすぐに止める。


「待て。」


「この状態で魔法なんか使ったら……」


「間違いなく、ダンジョン全体が崩壊する。」


ニキは歯を食いしばる。


「じゃあ……どうすんだよ。」


アルは岩壁を見つめる。


「大丈夫だ。」


「いざとなったら、無理やりでも脱出する。」


「先に戻っていてくれ。」


クロードは少し考え、頷いた。


「……それが一番正しい判断だろう。」


ルシアが岩壁の向こうから叫ぶ。


「アル!」


「絶対、戻ってきてね!」


アルは少し笑う。


「あぁ。」


「約束する。」


そして――


俺達は、別々の道へ進むことになった。


だが、


この時、俺はまだ知らなかった。


あの日の続きが――


再び動き始めたことを。


〈第三十四話・了〉

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