第三十三話 「微かな違和感」
「キャノン・ゼロ!!」
――ズドォォォォン!!
轟音がダンジョン全体を揺らす。
凄まじい衝撃で地面が震え、砂埃が一気に舞い上がった。
レオンが目を凝らす。
「命中……したのか?」
ニキも土煙の先を睨む。
「土煙で何も見えねぇ……。」
静まり返ったダンジョン。
誰もが息を呑み、煙が晴れるのを待った。
少しずつ土煙が薄れていく。
そして――
巨大なゴーレムは、なお立っていた。
「お、おいおい……嘘だろ。」
「あれでも倒せないのかよ……。」
誰も、次の言葉を継げなかった。
レオンの盾を持つ手から、力が抜けていく。
ニキが膝をつきそうになり、慌てて槍で身体を支えた。
「……もう、打つ手なんて。」
誰かが呟いた声が、そのまま消えていく。
絶望が、じわりと場を支配していった。
だが、アルだけはゴーレムを見つめ続けていた。
(いや……。)
(核は、確かに捉えた。)
その瞬間だった。
――バキッ。
小さな音が響く。
ゴーレムの胸に一本の亀裂が走る。
その亀裂は瞬く間に全身へと広がっていった。
――ゴゴゴゴゴ……
巨大な身体がゆっくりと傾く。
「た、倒れるぞ!」
――ズゥゥゥン!!
ゴーレムは轟音と共に地面へ崩れ落ちた。
ダンジョン内が激しく揺れる。
「た、倒せた……。」
「や、やった! やったー!」
「……何だよ。びっくりさせるなよ。」
張り詰めていた空気が一気に緩む。
冒険者たちは安堵の表情を浮かべた。
だが、アルだけは倒れたゴーレムから目を離さなかった。
(半信半疑だったが……本当に核があったのか。)
(だが、おかしい。)
(核があったのに、魔力探知には反応しなかった。)
(なら、何故このゴーレムは動いていたんだ……。)
その時だった。
ゴーレムへ近づいていたクロードが、何かを見つけたように足を止める。
「おい、これ……。」
その声は、どこか震えていた。
クロードは思わず叫ぶ。
「おい!!!」
その場にいた全員が駆け寄る。
「な、何……これ。」
ゴーレムの胸の奥には、一人の子供が横たわっていた。
〈第三十三話・了〉




