第三十話 「遭遇」
ズシン。
地面が、小さく揺れた。
静まり返ったダンジョンに、その振動だけが鈍く響く。
全員の表情が強張る。
Bランク冒険者が剣を構え、声を張り上げた。
「全員、武器を構えろ! 何かいる。」
誰も言葉を発さない。
張り詰めた空気の中――
――ピューーン!
風を切るような音が、ダンジョン内に響いた。
メイが辺りを見回す。
「何? 何の音?」
ホークも耳を澄ませる。
「音が反響しすぎてて分からない。」
音は、一瞬で消えた。
だが、その静寂がかえって不気味だった。
Bランク冒険者のリーダーが叫ぶ。
「光だ! 光を強くしてくれ!!」
次の瞬間――
――ズドォーーン!!
凄まじい轟音が響き渡る。
「リーダー!!」
暗闇のせいで、何が起きたのか誰にも分からない。
アルはすぐに魔法を発動した。
「第三階級光魔法」
眩い光がダンジョン全体を照らし出す。
「リーダー……?」
目の前には、リーダーの下半身だけが、その場に崩れ落ちていた。
ルシアは思わず息を呑む。
「ねぇ、ニキ、あれ……」
「……まじかよ。」
光に照らされた先には、先に送り込まれていた冒険者たちの遺体が、無惨な姿で横たわっていた。
折れた剣。
砕けた盾。
辺りには激しい戦闘の跡だけが残されている。
レオンは盾を握る手に、思わず力を込めた。
(Bランク冒険者が、一撃で……。)
一方、ギルは静かにガンドレッドを構える。
その目は、巨大な敵を見据えていた。
アルは目を細める。
(道理で、魔力探知に引っかからないわけだ。)
(相手が生きてないんだからな。)
ズシン。
ズシン。
重い足音が、ゆっくりと近づいてくる。
暗闇の奥から現れたのは、全身を岩で覆われた巨大なゴーレムだった。
ゴーレムは両腕をゆっくりと持ち上げる。
「ウォォォォォ!!」
その咆哮が、ダンジョン全体を震わせた。
〈三十話・了〉




