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第二十九話 「静寂の階層」

「ここからは、俺たちBランク冒険者が先導を切らせてもらう。」


先頭に立つBランク冒険者が全員を見渡した。


「今回の目的は、あくまで行方不明者の捜索だ。」


「余計な行動は絶対にしないでくれ。」


その一言で、その場の空気が引き締まる。


「「はい!」」


俺たちはダンジョンへと足を踏み入れた。


____________


「随分と暗いな。」


ハインが周囲を見回す。


Bランク冒険者が後ろを振り返った。


「魔導士は光魔法を。」


各パーティの魔導士たちが一斉に詠唱する。


第四階級光魔法イルミナ


淡い光が辺りを照らし、真っ暗だったダンジョンに視界が戻る。


「す、すごい……。」


ルシアは目を輝かせた。


「ここがダンジョン……。」


(昔と変わってないな。)


俺は静かに周囲を見渡した。


「行方不明者が最後に確認されたのは第二階層だ。」


「まずは第二階層を目指す。」


「はい!」


____________


第一階層では、数体のゴブリンやスライムが現れた。


「ネオ! 魔物!」


メイが叫ぶ。


「スキル《フォーリン・スリープ》」


魔物たちは次々と眠りにつく。


「はっ!」


レオンが盾で牽制し、そのまま剣を振り下ろした。


「なるほど……。」


「それで僕たちを眠らせたんだね。」


ネオは軽く笑う。


「そういうこと。」


ルシアが首を傾げた。


「そういえば、何であの時、後衛しか残ってないって分かったの?」


「僕のもう一つのスキル、《マインド・アイ》の能力だよ。」


「周囲の状況を把握できるんだ。」


「へぇ……便利なスキルだね。」


そんな会話を交わしながら、一行は第一階層を突破した。


____________


「第二階層だ。」


階段を下りた瞬間――。


アルの表情が変わる。


(……おかしい。)


(第二階層に入った瞬間から、魔物の気配が一つもない。)


ニキが辺りを見回した。


「あれ?」


「思ったより魔物いなくね?」


クロードは険しい表情を浮かべる。


「……だから怖いんだ。」


「静かすぎる。」


誰も言葉を発さないまま、さらに奥へ進んでいく。


やがて、一行は大きな空洞へと辿り着いた。


アルは足を止める。


「ギル。」


「クロード。」


「戦闘準備。」


クロードは眉をひそめた。


「忘れたのか、アル。」


「目的は行方不明者の救助だ。不要な戦闘は避けたい。」


アルは暗闇を見つめたまま答える。


「……そのつもりでも。」


「多分、向こうは待ってくれない。」


その瞬間――。


ズシン。


地面が、小さく揺れた。


全員の表情が強張る。


〈二十九話・了〉

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