第二十九話 「静寂の階層」
「ここからは、俺たちBランク冒険者が先導を切らせてもらう。」
先頭に立つBランク冒険者が全員を見渡した。
「今回の目的は、あくまで行方不明者の捜索だ。」
「余計な行動は絶対にしないでくれ。」
その一言で、その場の空気が引き締まる。
「「はい!」」
俺たちはダンジョンへと足を踏み入れた。
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「随分と暗いな。」
ハインが周囲を見回す。
Bランク冒険者が後ろを振り返った。
「魔導士は光魔法を。」
各パーティの魔導士たちが一斉に詠唱する。
「第四階級光魔法」
淡い光が辺りを照らし、真っ暗だったダンジョンに視界が戻る。
「す、すごい……。」
ルシアは目を輝かせた。
「ここがダンジョン……。」
(昔と変わってないな。)
俺は静かに周囲を見渡した。
「行方不明者が最後に確認されたのは第二階層だ。」
「まずは第二階層を目指す。」
「はい!」
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第一階層では、数体のゴブリンやスライムが現れた。
「ネオ! 魔物!」
メイが叫ぶ。
「スキル《フォーリン・スリープ》」
魔物たちは次々と眠りにつく。
「はっ!」
レオンが盾で牽制し、そのまま剣を振り下ろした。
「なるほど……。」
「それで僕たちを眠らせたんだね。」
ネオは軽く笑う。
「そういうこと。」
ルシアが首を傾げた。
「そういえば、何であの時、後衛しか残ってないって分かったの?」
「僕のもう一つのスキル、《マインド・アイ》の能力だよ。」
「周囲の状況を把握できるんだ。」
「へぇ……便利なスキルだね。」
そんな会話を交わしながら、一行は第一階層を突破した。
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「第二階層だ。」
階段を下りた瞬間――。
アルの表情が変わる。
(……おかしい。)
(第二階層に入った瞬間から、魔物の気配が一つもない。)
ニキが辺りを見回した。
「あれ?」
「思ったより魔物いなくね?」
クロードは険しい表情を浮かべる。
「……だから怖いんだ。」
「静かすぎる。」
誰も言葉を発さないまま、さらに奥へ進んでいく。
やがて、一行は大きな空洞へと辿り着いた。
アルは足を止める。
「ギル。」
「クロード。」
「戦闘準備。」
クロードは眉をひそめた。
「忘れたのか、アル。」
「目的は行方不明者の救助だ。不要な戦闘は避けたい。」
アルは暗闇を見つめたまま答える。
「……そのつもりでも。」
「多分、向こうは待ってくれない。」
その瞬間――。
ズシン。
地面が、小さく揺れた。
全員の表情が強張る。
〈二十九話・了〉




