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第二十八話 「緊急依頼」

ルシアが大きく伸びをしながら言った。


「結局、昨日は依頼を受けなかったし……今日こそ決めよう!」


レオンが笑いながら言う。


「薬草集めは?」


「だから嫌だって言ったじゃん!!」


そんな他愛もない会話をしながら、俺たちは冒険者ギルドへ向かった。


しかし――。


「……何か、人多くない?」


ギルド内はいつも以上に冒険者で溢れ、あちこちで騒ぎになっていた。


「何かあったのかな?」


アルは受付へ向かう。


「フローラさん。何かあったんですか?」


フローラは少し困った表情で頷いた。


「実は最近、ダンジョン内で行方不明者が相次いでいるんです。」


「そのため、ギルドは緊急依頼を発令しました。」


ルシアが目を丸くする。


「緊急依頼!? それって、8年前の魔王の大災害以来じゃ……。」


「はい。」


「一週間前、CランクパーティとBランク冒険者一名に調査を依頼しました。」


「ですが、その調査隊とも連絡が取れなくなってしまったんです。」


アルは静かに口を開く。


「……つまり、その五人も行方不明になった。」


「はい。」


「そのため、一刻も早くダンジョンの異変を調査する必要があります。」


フローラはギルド内を見回した。


「ですが、今まで実力のある冒険者たちが帰ってきていないこともあり、依頼を受けてくださる方がほとんどいないんです……。」


少しの沈黙が流れる。


その空気を破ったのは、ルシアだった。


「……怖いけど。」


「だからこそ、放っておけないよ。」


「それに、ダンジョンって一度行ってみたかったんだ!」


レオンは慌ててツッコむ。


「いやいや、話聞いてた?」


「僕らEランク冒険者だよ?」


「行ったところで足手まといになるだけじゃ……。」


ギルが腕を組んだ。


「俺は行く。」


「強い敵と戦えるなら、それでいい。」


「ギルまで……。」


レオンはため息をつき、最後の望みをアルへ向ける。


「アル! 何とか言ってよ!」


アルは静かに答えた。


「悪い、レオン。」


「実は俺も興味がある。」


(ダンジョン……。)


(俺がアンデッドだった頃と、何か変わったのか気になる。)


ルシアが笑顔になる。


「よし! 決まりだね!」


フローラは驚きながらも深く頭を下げた。


「皆さん……本当にありがとうございます!」


「実は、皆さん以外にも依頼を引き受けてくださった冒険者の方々がいるんです。」


______________


「え……。」


ギルが目を見開く。


「何でクロードたちがいるんだよ。」


クロードは肩をすくめて笑う。


「ミリアがダンジョンへ行きたいって言うからな。」


「どうやら、面白い依頼になりそうだ。」


「お、お前らも来てたのか。」


今度はレオンが驚く。


「えっ!? ネオまで!」


ネオは軽く手を挙げる。


「報酬が良かったんで。」


フローラが全員を見渡した。


「これで全員ですね。」


「今回参加するのは、Bランクパーティ一組、

そして皆さんEランクパーティ。」


「総勢十六名でダンジョンへ向かいます。」


Bランク冒険者が前へ出る。


「もたもたしてても仕方ねぇ。」


「さっさと終わらせようぜ。」


この時の俺たちは、まだ知らなかった。


この依頼が、王都を揺るがす事件の始まりになることを。


〈二十八話 緊急依頼・了〉

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