第二十七話 「金色の髪飾り」
翌日――。
俺たちは再び冒険者ギルドを訪れていた。
依頼掲示板の前には、多くの冒険者が集まっている。
「どの依頼がいいかな?」
ルシアが掲示板を見つめながら呟く。
「これなんかどう? 薬草集め。」
レオンは苦笑した。
「えぇ……初依頼にしては地味すぎない?」
「そう、かな……?」
その時、ギルが口を開いた。
「依頼もそうだけどさ、大事なこと忘れてないか?」
「大事なこと……?」
ルシアが首を傾げる。
「パーティ名だよ。」
「あっ……忘れてた。」
アルは笑いながら言った。
「まぁ、どっちも焦らず決めようよ。」
「そうだね。」
その時だった。
受付の方から声が飛んでくる。
「ア、アルさーん! 少しよろしいですかー?」
フローラだった。
「ちょっと行ってくる。」
アルは三人を残し、受付へ向かった。
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「先日頼まれていた資料なんですが……。」
フローラは申し訳なさそうに頭を下げた。
「実は、第七観測区画の資料だけ、ほとんど残っていないんです。」
「……ほとんど?」
「はい。」
「唯一残っていたのは、第七観測区画の地下に居合わせた人の証言だけでした。」
アルは静かに耳を傾ける。
「証言によると、襲撃した魔人は刀を使い、金色の髪飾りを身につけていたそうです。」
(……やっぱり。)
(グレイスを殺した、あいつだ。)
アルは拳を強く握り締めた。
「ありがとうございました。」
「いえ……お力になれず、すみません。」
アルは小さく首を振る。
「十分です。」
そう言って三人の元へ戻った。
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「何話してたの?」
ルシアが尋ねる。
「ちょっと昔のことをね。」
アルは微笑みながら答えた。
「それより、初依頼決まった?」
レオンは肩をすくめる。
「全然。」
「これだっていう依頼がなくてさ。」
ルシアが掲示板を見ながら言う。
「今日はゆっくり決めよ?」
「初めての依頼だし、焦って決める必要はないもん。」
「そうだね。」
レオンも頷く。
「じゃあ、とりあえず昼ご飯にしよう!」
「お腹空いたし!」
「賛成。」
四人は笑いながら食堂へ向かって歩き出した。
冒険者としての日常が、ようやく始まろうとしていた。
〈二十七話・了〉




