第二十六話 「Eランクからの一歩」
試験が終わり、俺たちはそのまま冒険者ギルドへ向かった。
受付の前に立つと、一人の女性が柔らかな笑みを浮かべる。
「改めまして、はじめまして。」
「受付嬢をしております、フローラです。フローラとお呼びください。」
「では最初に、冒険者登録をお願いいたします。」
ペンが紙の上を走る音だけが静かに響く。
数分後――。
「これで冒険者登録は完了です。」
「こちらが冒険者カードになります。」
フローラは四枚のカードを差し出した。
「このカードは、ダンジョンへ入る時や、他国へ入国する際の身分証明にもなりますので、大切に保管してくださいね。」
俺たちはカードを受け取る。
「それと、冒険者にはランク制度があります。」
「皆さんは一番下のEランクからのスタートです。」
「依頼は、あちらの掲示板からお選びください。」
フローラはギルド中央の掲示板を指差した。
「依頼にもランクがあり、ご自身のランクと同じものまでしか受けられませんので、ご了承ください。」
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冒険者登録を終えた俺たちは、そのままギルドの食堂へ向かった。
最初に口を開いたのはレオンだった。
「……で、これからどうする?」
「今後も四人で組むか?」
ルシアは迷うことなく頷く。
「私は、この四人でやりたい。」
「一人じゃ限界があるって、今回の試験で分かったから。」
レオンも笑顔を浮かべる。
「僕も賛成。」
「冒険は、一人よりみんなでやった方が楽しいし。」
アルは頷いた。
「うん。俺も。」
三人の視線がギルへ向く。
ギルは腕を組み、少しだけ目を逸らした。
「認めたくはないが……ルシアの言う通りだ。」
「一人じゃ限界がくる。」
「お前らとなら、それを補える気がする。」
「だから、このままでいい。」
レオンは思わず目を丸くする。
「えっ……意外。」
「はぁ?」
「いや、その……。」
「ギルって一匹狼って感じだったからさ。」
「パーティを続けるって言うとは思わなくて。」
「悪い悪い。」
ギルは呆れたようにため息をつく。
「何だよ、それ。」
その一言に、その場の全員が笑った。
しばらくして、アルが静かに席を立つ。
「あれ?」
ルシアが首を傾げる。
「アル君、どこ行くの?」
「少し、フローラさんのところに。」
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受付へ戻ると、フローラが笑顔で迎えてくれた。
「どうされました?」
「フローラさん。」
「お願いがあるんです。」
「八年前の『魔王の大災害』についての資料が見たくて。」
「特に、第七観測区画の地下に関する資料があれば……。」
その言葉を聞いた瞬間。
フローラの表情が、ほんのわずかに曇る。
「……第七観測区画、ですか。」
少し考え込んだあと、小さく頷いた。
「分かりました。」
「確認してみますね。」
アルも静かに頷く。
「お願いします。」
〈二十六話・了〉




