「教えて〜!フローラ先生!」 ①〈魔法編〉
冒険者ギルドの受付、開店前。
カウンターの向こうで、フローラが一人、書類を整理していた。
ふと、こちらへ気づいて顔を上げる。
「あ、開店前だけどいいよ〜。今日はちょっと特別に——」
フローラは、にこりと笑って人差し指を立てた。
「この世界の”魔法”について、教えちゃおうかな!」
カウンターにもたれかかり、書類を一枚めくる。
「魔法にはね、レベルがあるの。上から順に——」
「第一階級魔法」
「第二階級魔法」
「第三階級魔法」
「第四階級魔法」
「第五階級魔法」
「数字が小さいほど、強い魔法ってこと。覚えておいてね」
人差し指を、今度は宙にくるりと回す。
「ちなみに——」
フローラの声が、少しだけ潜められた。
「王国で第二階級魔法以上を扱えるって公表されているのは、たった四人なんだよ〜。」
「え、四人?」
カウンター越しに、受付に来た冒険者が思わず聞き返す。
「そう、四人」
フローラは指を四本、立てて見せた。
「王都に大魔導士って呼ばれる人たちがいるでしょ。あの人たちのことだよ。第一階級はまだ誰も到達してない、って言われてる」
「それくらい、階級を一つ上げるのって大変なことなの」
冒険者が納得したように頷く。
「じゃあ、第四階級とか第五階級は?」
「そのあたりは、ある程度修行した魔導士なら扱えるよ。冒険者試験でも、受験者が使うのはだいたい第三〜第五階級だね」
フローラは書類を軽く揃えて、笑顔を作った。
「おっと、そろそろ開店の時間だ」
「今日の授業はここまで!」
「また分からないことがあったら、いつでも聞きに来てね〜」
「教えて〜!フローラ先生!」①〈魔法編〉
第一話・完




