第二十四話 「囮」
「モードチェンジ――ガンマン。」
ガンドレッドが重い金属音を響かせながら姿を変える。
左右の腕には、一丁ずつ拳銃が握られていた。
ハインが思わず目を見開く。
「おいおい……何だアレ。二丁拳銃?」
ニキも息を呑む。
(武器もおかしい……が。)
(それ以上に、この魔力だ。さっきまでとは比べものにならねぇ……!)
クロードは冷静に指示を飛ばす。
「ニキ! ミリア! ハインの後ろへ!」
そして、静かに魔法を唱えた。
「第三階級付与魔法"エンチャント・フレーム"――スキル"オーバーロード"。」
ニキはクロードを見つめる。
「あいつ……本気で終わらせる気だ。」
だが、先に動いたのはギルだった。
「第五階級土魔法"ドライ・ダスト"。」
地面が弾け、大量の土煙が舞い上がる。
一瞬で視界は茶色に染まった。
(視界を奪うつもりか。)
(甘い。)
(身体強化は魔法とスキルで二重に掛けてある。魔力の流れさえ読めれば、お前の位置は隠せない。)
クロードは一直線に駆け出した。
土煙の向こう。
ギルが立っていた。
クロードは迷わず刀を振り下ろす。
――ガキィン!!
ギルは二丁拳銃を交差させ、その一撃を受け止める。
「土煙なんかで俺の視界が本気で奪えると?」
「悪いが、もう終わりだ。」
ギルは不敵に笑う。
「ははっ……。」
「気付くの、遅かったな。」
「……?」
クロードが眉をひそめる。
「俺は最初から囮だ。」
その言葉に、クロードの表情が変わる。
(まさか――)
勢いよく後ろを振り向く。
土煙の中を、一つの影が駆け抜けていた。
アルだ。
(こいつら……最初から旗を狙っていたのか!)
「ニキ!!」
「旗を守れ!!」
「は、旗!? どこにあるんだ!?」
土煙で視界を奪われたニキ達は、旗の位置を見失っていた。
(そうか……。)
(土煙は俺じゃない。)
(ニキたちの視界を奪うためだったのか……!)
クロードが駆け出そうとした、その瞬間。
「どこ見てんだよ。」
ギルの蹴りがクロードの腹部へ突き刺さる。
――ドォン!!
「ぐっ……!」
クロードは体勢を崩す。
その隙に、ギルは二丁拳銃を後方へ放り投げる。
宙を舞う拳銃へ、魔力が収束し始めた。
「チャージ。」
ギルが静かに呟く。
「お前らァァァ!!」
クロードは再びギルへ斬りかかった。
(こいつだけは……絶対に突破する!)
「捉えた!」
「この勝負――もらっ……!?」
クロードの目が見開かれる。
(……二丁拳銃がない!?)
その瞬間。
ギルの声が響く。
「やっぱ流石だよ、お前。」
「……だが。」
「クロード、お前の負けだ。」
クロードの背後。
宙に浮いた二丁拳銃へ収束していた魔力が、一気に解き放たれる。
「フル・バースト――」
「一斉射撃!!」
無数の魔力弾がクロードへ襲い掛かった。
――バァァァン!!
〈二十四話・了〉




